2010年07月19日

ブラックユーモアをまぶした作品の底流に、常に弱者の目線・・・ 天風録 八葉蓮華

 映画スターが身ごもらせた女性を、しがない大部屋俳優のもとに連れてくる。スキャンダルになっては困るので、彼女と結婚して子どもの父親になってくれ、と。映画化もされ大ヒットした芝居「蒲田行進曲」である

 あこがれの人気俳優から頼まれれば、どんな不条理なことも嫌とは言えない大部屋俳優。身勝手なスターをひきたてるため、とうとう高い階段から命がけで転がり落ちる。映画の「階段落ち」のシーンにほろっときた人も多かろう

 劇作家のつかこうへいさんは20年前の著書「娘に語る祖国」で在日韓国人であることを明かした。ペンネームが平仮名なのは漢字が読めない母のため。名前には「いつか公平」な世の中にという願いを込めたとの説もある。ブラックユーモアをまぶした作品の底流に、常に弱者の目線が感じられた

 劇中の弱者は虐げられるだけでなく、何か突き抜けたようなたくましさもあった。重いテーマを、あえて軽く、どこか希望が持てるように描いた、つかさんの分身のようにも見える

 一生かけて問い掛けてきたであろう二つの祖国。先の著書では、国境上空の機上で感じたまま「祖国とはおまえの美しさ」と幼い娘に語りかけた。「対馬海峡あたりで散骨して」という娘への遺言はいかにもつかさんらしい。

 天風録 中国新聞 2010年7月14日
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2010年07月18日

「最小不幸社会」を旗印に、いまひとつ中身はぴんとこなかった・・・ 天風録 八葉蓮華

 候補者名を記したボードに、まばらな赤いバラ。うっすら涙を浮かべていた。3年前の参院選で惨敗を喫した自民党の安倍晋三元首相である。テレビに映し出された表情は何ともうつろだった

 きのう未明、都内のホテルで記者会見した菅直人首相。与党に転じた民主党は今回、改選前を10議席も割り込んだ。かみしめるような口調で敗因を語りながら時折、視線を宙に泳がせた。元首相の姿と二重写しになってしまう

 ともに長州ゆかり。安倍氏が「美しい国」を掲げれば、菅首相は「最小不幸社会」を旗印に。目を引くキャッチフレーズだが、いまひとつ中身はぴんとこなかった。片や「年金」、片や「消費税」で足をすくわれた。「民意はわれに」と思い込んでいた辺りも似通っている

 とはいえ登板のタイミングはかなり違う。5年半に及んだ小泉政権を継ぎ、若きエースとして登場した安倍氏。一方、菅首相はわずか8カ月余で退陣した鳩山政権に代わって、急きょマウンドに上がったばかりだ

 安倍氏に倣ったのか、菅首相は早々と続投を宣言した。だが野党は手ぐすね引き、身内からも責任論がくすぶる。この9月には党代表選が待ち構えている。安倍氏が退陣したのも9月。その轍(てつ)を踏まぬロングリリーフが果たせるだろうか。

 天風録 中国新聞 2010年7月13日
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2010年07月17日

勇み足「拝啓 国民のみなさま」問題の解決を先延ばしする・・・ 天風録 八葉蓮華

 「拝啓 国民のみなさま」。参院選投票日のきのう、朝刊各紙に載った一面ぶち抜きの広告。目に留まった人も多いに違いない。「手紙」の主は民主党代表の菅直人首相である

 選挙戦での消費税増税をめぐる「勇み足」が、よほどこたえたと見える。せっかくV字回復した支持率に水を差したばかりか、内輪からも批判が相次いだ。「私の説明不足でご心配をおかけしたことを、率直にお詫(わ)びします」と謝罪の言葉を余儀なくされた

 思い起こすのは大平正芳首相が一般消費税導入を打ち出した1979年の衆院選だ。自民党は過半数割れの大敗を喫した。消費税率を5%に引き上げた橋本龍太郎首相の下で戦った98年の参院選も、減税発言の迷走で惨敗。選挙に消費税を持ち出すのは鬼門とされてきた

 攻守所を変える形で「まずスタートラインに立たせてほしい」とあえてタブーに挑んだ菅首相。今回、有権者は過半数を大きく割り込む厳しい結果を突き付けた。ジンクスがまた繰り返されたようだ

 大平元首相は、目先のやすきに走って問題の解決を先延ばしするやり方を「ツケの政治」と戒めた。菅首相もそれに倣ったのだろうが、国民の声に耳を傾ける謙虚さを忘れていなかったか。届いた「返事」の行間を、しっかり読み込んでもらいたい。

 天風録 中国新聞 2010年7月12日
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2010年07月16日

20年以上前の冷戦時代に戻ったような話・・・ 天風録 八葉蓮華

 SF作家の星新一さんが40年余り前に書いた短編「あるスパイの物語」は、対立国に潜入する男が主人公。同志に秘密書類を届ける任務中、当局に捕まってしまう。口を割らないでいたら突然、敵のボスから帰国を許される

 現実の世界で起きたロシアのスパイ団事件も不可解な結末だ。米国内で逮捕された男女10人と、ロシアで服役中の「西側の情報員」4人が交換の形で釈放された。20年以上前の冷戦時代に戻ったような話に、思わず耳を疑った

 10人は資金援助を受けながら、子連れの夫婦や「美ぼうの実業家」として米国社会で暮らしていた。連絡にあぶり出しインクを使ったり、すれ違いざまにバッグを交換したり。ハイテク全盛の時代になんとも古典的な手口が生きていた

 東西対立のさなか、日本も「スパイ天国」と呼ばれていた。東京では米中央情報局(CIA)と当時のソ連国家保安委員会(KGB)の要員が工作にしのぎを削っていたという。スパイ映画さながらの情報戦争の舞台だったのだろうか

 今回、米当局がスパイを暴くのに使った手段は盗聴や隠し撮りだったとされる。ストーカー行為などで、盗聴器を勝手に仕掛けるケースも後を絶たない昨今の日本。スパイならぬ「盗聴天国」とささやかれているかもしれない。

 天風録 中国新聞 2010年7月11日
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2010年07月15日

歴史の瞬間を日々切り取ってきた新聞、はるかな時を超えて伝えてくれる・・・ 天風録 八葉蓮華

 引っ越しや大掃除の最中、10年も20年も前の新聞が押し入れの奥から出てくることがある。手にとって眺めるうち、タイムスリップしたような感じになって、ついつい仕事もそっちのけに…。そんな経験を持つ人もおられよう

 岩国市内の民家では、幻の新聞が嫁入り道具のたんすやトランクの底に眠っていた。昭和10年代、小社が山口県内で発行していた「中国防長新聞」。記録には残っていたものの、本社や支局にも実物はなかった

 岩国のシンボル錦帯橋を題字にあしらう。1面トップは戦地に向かう兵士の話題。「怒濤(どとう)の歓呼に送られ我等(われら)が新精鋭征途へ」の大見出しが躍り、戦争に突き進んでいった時代の雰囲気が目に浮かぶようだ。「目立つ女性の大陸進出」「野犬が跋扈(ばっこ)」といった記事も

 片や、庶民の関心事や流行をさりげなく映し出しているのが広告ではないか。「胚芽(はいが)米の五百倍のビタミンB」「健康美容に」。さまざまな薬や食品、乳液などが並ぶ。健やかで美しくありたいとの願いは、いつの世も変わらないと見える

 取材した同僚によると、昭和初期の新聞は黄ばみ、ざらざらした手触りだったという。歴史の瞬間を日々切り取ってきた新聞。はるかな時を超えて伝えてくれるのも紙ならではの、ありがたさだろう。

 天風録 中国新聞 2010年7月10日
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2010年07月14日

清張ゆかりの地と知る人が最近までほとんどいなかったのは無理もあるまい・・・ 天風録 八葉蓮華

文化 Culture 八葉蓮華<創価学会 仏壇>
天風録 中国新聞 2010年7月9日

 両親の出身地が別々だと、人はどちらをより身近に感じるだろう。松本清張の場合は極端だった。父親の古里、鳥取県日南町には直筆を寄せた文学碑の除幕式をはじめ、機会あるごとに訪れたという

 母方の東広島市志和町に来たのは一度きりのようだ。親せきの人たちと言葉も交わさず「滞在は40分くらいだった」と自伝に記す。あぜ道でそれらしい姿を見かけた一人は「縁者を紹介できたのに」といまだに残念がる

 地元でさえ、ゆかりの地と知る人が最近までほとんどいなかったのは無理もあるまい。清張生誕100年の昨年、実行委員会を設けて多彩な記念行事を催した日南町とは、対照的のように見える

 広島市郷土資料館での「松本清張展」や市立中央図書館での作品展で、市内にあった生後間もない写真の撮影場所や自伝が紹介されている。志和とのつながりもやっと注目されるようになった。「これを機会に、清張文学にちなむ地域づくりを始めたい」と志和公民館長の藤岡武士さんは知恵を絞る

 志和の印象を「この村の農家は…かなり裕福にみえた」と書き残した昭和の文豪。豊かな村に文化面の財産が加われば、地元の知名度も上がろう。父方とは同じ中国地方の農村同士。清張の縁で新たな交流がはぐくまれるかもしれない。

 天風録 中国新聞 2010年7月9日
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2010年07月13日

「言葉は文明を運ぶ」地球上で暮らす幾多の民族・・・ 天風録 八葉蓮華

 英語の使い手なのに、外国からの客人との会話は日本語で通す。亡くなった文化人類学者の梅棹忠夫さんは頑固なまでに自分流を貫いた。生粋の京都人だけに、「いけず(意地悪)」かと思えばそうではない

 世界が東西に分かれ、角突き合わせていた冷戦の時代。英語を使えば一方の側にくみすることになる。戦争放棄を誓った被爆国日本の科学者こそ中立でなければ、との考えからだった。客は通訳同伴で訪ねてくるようになったという

 半世紀余り前の論文「文明の生態史観序説」で世に出る。西欧と日本という大陸の辺境部で文明が発展したが、「文化に上下の差はない」が持論。「進化の道はいくつもある」とその多様性にも注目した

 シルクロードの砂漠やモンゴルの草原を歩く現場の発想から紡いだ世界観だろう。初代館長を務めた大阪の国立民族学博物館では、独特の展示スタイルを編み出した。地球上で暮らす幾多の民族の資料が同じ平面に並ぶ。その壮観ぶりは、今もけた外れである

 「言葉は文明を運ぶ」と述べたこともある。漢字が壁となって外国人に学びにくい日本語と日本の行く先を気にかけていた。座談では「しやはる」「どうやいな」を連発し、論文は平仮名が多く読みやすい。「はんなり」という京言葉が浮かんでくる。

 天風録 中国新聞 2010年7月8日
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2010年07月11日

「ゆるキャラ」愛する郷土の延長に国がある。その未来を託す1票を・・・ 天風録 八葉蓮華

 真っ正面からではない。ゆったり、ゆるゆるという感じで、郷土のイベントなどをPRする着ぐるみのキャラクターたち。「ゆるキャラ」と名付けてブームに火を付けたのが、イラストレーターみうらじゅんさんである

 広島生まれのキャラに一目ぼれした。胴体はカキ、頭にはモミジを載せ、広げた手は広島の「ひ」を表す。今から10年前、国民文化祭にお目見えしたブンカッキーだ。「妙な何とも言葉にしがたい」衝撃を受けた。それが、全国各地のゆるキャラを紹介するきっかけになったという

 「体があのビロビロのカキ。このセンスは東京では決して生まれてこない」。少々くすぐったい気がするが、そこはかとなく漂う郷土愛。だからこそ笑みを誘うのだろう。各地に続々と生まれたライバルがみな癒やし系なのもうなずける

 この元祖ゆるキャラが、同輩たち29体を従えて写真に納まった。市や町のイベント生まれのほか、明るい選挙推進協会の「めいすいくん」も。JR広島駅や福山駅に設けた看板の中から参院選の投票を呼びかける

 からめ手から若者の関心を高めようという選管の策という。愛する郷土の延長に国がある。その未来を託す1票を、キミはちゃんと使える? いちずな目でゆるキャラたちが見つめている。

 天風録 中国新聞 2010年7月6日
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2010年07月10日

朝とれたばかりの銀色の小イワシが店頭に並んでいる・・・ 天風録 八葉蓮華

 「小さな魚はとりたてに限る」。陶芸家で料理に通じた北大路魯山人の弁を、117万都市で実感できるのはかなり幸せなことではなかろうか。広島湾で朝とれたばかりの銀色の小イワシが店頭に並んでいる

 今が旬。百円玉3枚もあれば十分というお買い得感がまずうれしい。「七度洗えばタイの味」と言われる刺し身。よく冷やし、ショウガじょうゆに絡めればタイ以上ではないか。天ぷらの揚げたても絶品だし、煮ても焼いてもよし。新鮮さゆえの美味だろう

 調理に包丁は無用。手慣れると、ひものような内臓が最後まできれいに引っ張り出せる。刺し身にする際は、ヘラなどで身をはがす。誰が考えたのか、荷造り用のプラスチック製バンドでおろす早業も広まっている。広島発の知恵かもしれない

 小イワシはカタクチイワシの成魚。チリメンやイリコでおなじみの稚魚は、毎年わくように育つ。それを追ってクジラが瀬戸内海に入り込み、しまなみ海道の周辺に3週間近くとどまったことも。多くの生き物を養う海のコメのような存在でもある

 旬の食べ物の三大長所は、うまい、安い、栄養価が高い―とされる。それに加え、今の時季の小イワシには、一手間をかける楽しみもある。さて今夜、とりたてをどんな一品に仕上げるか。

 天風録 中国新聞 2010年7月5日
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2010年07月09日

広島の地で始まった「第二の人生」ドームを望む遊覧船・・・ 天風録 八葉蓮華

 アーチ型の窓越しに、石積みの護岸が映える。見慣れた風景なのに、欧州の古い町にいるような。不思議な感覚にとらわれた。今月から、広島市の平和記念公園に近い元安川に就航したばかりの遊覧船に乗ってみた

 それもそのはずだ。全長14メートルのゴンドラ風の外観に、木をふんだんに使った家具調の船内。先月まで18年間、長崎県佐世保市のリゾート施設「ハウステンボス」で運河を巡っていた1隻を譲り受けたという。原爆ドーム周辺の景観にもマッチしている

 広島の地で始まった「第二の人生」。毎日10回、ドームを望む1キロの航路を行き来する。人が歩くほどのゆっくりした船脚。車では見過ごしてしまうに違いない「水の都」の魅力も存分に味わえるというものだ

 「移籍組」といえば大先輩がいる。広島電鉄の電車だ。かつてドイツのハノーバーや京都、神戸など6都市を走っていた車両が、今も現役で活躍している。大阪から来て45年間走り続ける電車も。こうなると第二の人生の方がはるかに長かろう

 船に乗って、チーク材の床に気持ちが落ち着いたという声を聞いた。懐かしい木張りの電車にも通じるぬくもり。「内外装は変えずに長く活用したい」と運航会社はいう。広島の川で、もう一花も二花も咲かせてもらえれば…。

 天風録 中国新聞 2010年7月4日
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2010年07月08日

英語を身につけなければ世界と戦えない、英語の朝礼が始まり・・・ 天風録 八葉蓮華

 ある大学で英語が公用語になった。すると学生の人を見る目が一変したという。熱いまなざしを浴びたのは、ぺらぺらのネーティブや帰国子女。日本で育った教員たちは見下され、講義が思うように進まないことも

 英語ができる人イコール知的と早合点するわが国ならではの悲喜劇―。「日本辺境論」を著した大学教授の内田樹さんはそう喝破する。いざ、わが身に降りかかってきたら笑い事では済まされまい。折しも「社内で日本語使うべからず」と勇ましい声が聞こえだした

 楽天ではもう、英語の朝礼が始まり、社員食堂のメニューも横文字に。2年間でものにできない役員は首という。ユニクロを運営する会社も後を追う。「英語を身につけなければ世界と戦えない」。両社トップは口ぶりまで似通う

 来春から小学校の高学年で英語が必修となる。「中学の英語教諭は皆、ネーティブに」と楽天の社長はあおる。いつか、わが社の会議室に「日本語お断り」の札が掛かるかも…。定年までの残り時間が気になるご同輩もいるのでは

 「なんじゃ思うとるんかの」。赤ちょうちんで似合うのは、お国言葉だろう。日本人同士での英語のやりとりが聞こえてきたら酔いもさめそうだ。「英語お断り」の札を掛けた店がはやったりして。

 天風録 中国新聞 2010年7月3日
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2010年07月07日

呼び込み合戦「四海の内、みな兄弟なり」観光の世界でも、中国頼みが強まっている・・・ 天風録 八葉蓮華

 知り合いの元中国人留学生と久々に連絡を取り合った。帰国して30代で事業を起こし、日中間を飛び回る日々という。才覚と運次第では短期間で成功できるチャンスがある。「君子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」を地で行く社会が少々まぶしく映った

 きのうから中国人の個人観光ビザの要件が大幅に緩和された。団体に加え、家族や個人の旅行者がぐんと増えそうだ。外需を直に呼び込む観光の世界でも、中国頼みが強まっている

 向こうからは、週末に行ける身近な海外の感覚になってきたようだ。最近は日本びいきの若い女性客も増えている。最大の目当てはやはり買い物。バブルの絶頂期、欧米を闊歩(かっぽ)した日本人観光客の姿とダブって見える

 温泉やグルメ、健診との抱き合わせも登場し、呼び込み合戦は過熱気味だ。立ち遅れた中四国地方は瀬戸内海をどう生かすか。「先を争うの経路はせまし」という。対岸で争っていては誘客の道を狭めるようなもの。県境を越え、広域観光のルートをもっと太くできれば

 人民元の切り上げが進めば、さらに追い風が期待できる。ただ、儒教の文化圏に身を置く者同士、ビジネスだけの付き合いでは味気ない。できれば「四海の内、みな兄弟なり」の論語の心でもてなし、交わりたいものだ。

 天風録 中国新聞 2010年7月2日
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2010年07月06日

試合ごとに、もらった元気と感動。幸運を分かち合えた記憶はいつまでも残る・・・ 天風録 八葉蓮華

 もし10センチばかりボールのコースが低かったら…。シ闘120分の末、日本がPK戦で涙をのんだW杯のパラグアイ戦。ゴールを外した駒野友一選手が泣きじゃくり、仲間に慰められる姿が目に焼き付いたままだ

 「われわれが幸運だっただけ」とは、相手チームの監督の弁である。強豪の敗退が相次いでいる今大会。ちょっとした運の差が残酷なほどに明暗を分ける。シュートがクロスバーに嫌われるシーンが重なると、禁句のはずの「たら」が浮かんでくる

 「運も実力のうち」とも言う。日本が勝ち上がるのに、欠かせなかったのが控え組の支え。勝負時に全員で組んだ円陣がチームに運を呼び込んだようにも見えた。だが、「神のみぞ知る」とされるのがPK戦の行方だ。「ベストを尽くした結果だから」と駒野選手をねぎらいたい

 初の8強は惜しくも逃した。それでも何千万もの人がテレビ桟敷で心を一つにしたのは久々のことではないか。試合ごとに成長していくチームにもらった元気と感動。幸運を分かち合えた記憶はいつまでも残るに違いない

 岡田武史監督は「おそらく、もうやることはない」と退任を口にした。とはいえ、もし岡ちゃんに任せたら4年後は運も実力も一段と…。「たら」に思いを巡らせてみたくもなる。

 天風録 中国新聞 2010年7月1日
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2010年07月04日

大相撲の名古屋場所、モラルの管理さえできない、処分で体質が変わる保証もない・・・ 天風録 八葉蓮華

 名古屋の夏はことのほか暑い。大相撲の名古屋場所はかつて「南洋場所」と呼ばれた。冷房も扇風機もなかった古びた体育館。氷柱を立て、酸素ボンベの栓を開けてしのいだ。力士の体調管理が難しいせいか「荒れる」場所でもあった

 やっと冷房完備の愛知県体育館に移ったのが45年前。しかしその後も、思わぬ伏兵が優勝をさらうことが珍しくない。2002年の場所では横綱貴乃花や大関、関脇ら16人の関取が、けがや病気で相次いで休場。盛り上がりを欠いたのは記憶に新しい

 それにしても前代未聞の大荒れだろう。来月11日から始まる名古屋場所。野球賭博問題で揺れる日本相撲協会はきのう、予定通りの開催を決めた。しかし大関琴光喜関をはじめ14人が休場となりそうだ。懲戒処分の大嶽、時津風両親方のほか、武蔵川理事長はじめ親方11人も謹慎するという

 これでは、まともな運営はおぼつかない。処分で体質が変わる保証もない。長年、懸賞を出してきた有力スポンサーは見直しを検討しているという。そこまでして開いて、ファンが足を運ぶだろうか

 まじめにけいこを積んできた力士たちには、気の毒というほかない。体調ならぬモラルの管理さえできない病根が浮き彫りになった角界。命取りにならなければいいが。

 天風録 中国新聞 2010年6月29日
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2010年07月02日

衆参合わせて3けたの削減を掲げて、実現すれば、空き部屋だらけとなる・・・ 天風録 八葉蓮華

 壁や天井のくたびれ具合に、歴史を感じる。国会議事堂の裏手に並ぶ議員会館だ。40平方メートルを議員室と秘書らの事務室に分ける間取り。大人数の陳情団が来ると応接もままならない。しかしそれも参院選の後まで。この夏、一斉に引っ越す

 半世紀近く前の高度成長時代に建った今の会館は衆院2棟、参院1棟。すべての議員がここに事務所を構え、議事堂とは地下の通路で行き来する。政局を動かす「場外戦」や、権謀術策渦巻く数々のドラマを生んできたのだろう

 その建物を覆い隠すように立ち上がった3棟が「新居」だ。12階建て総事業費は1700億円。事務所の広さは100平方メートルと今の2倍以上になる。もちろん家賃は不要。まっとうな政治に要るのなら「ぜいたく施設」とは言うまい

 ただ気になることがある。議員定数に合わせた衆院480、参院242の部屋数だ。定数削減との兼ね合いはどうなるのだろう。参院選マニフェストでは二大政党の民主、自民ともに衆参合わせて3けたの削減を掲げているはずだが

 その通り実現すれば、空き部屋だらけとなる。さらに将来、一院制が現実になれば1棟は不要に―。国会改革にめどを付けてからでは遅かったのか。完成間近の会館への「入居権」も争う舌戦のさなか、しばし考えてしまう。

 天風録 中国新聞 2010年6月27日
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