あの流儀とは、岸信介首相による新日米安保条約の強行採決を指す。5月19日の深夜、衆院での質疑を打ち切り、警官隊を院内に導入。議長室前に座り込む野党議員らをごぼう抜きし、半世紀前のきょう午前0時すぎに可決した
これを境に「安保反対」に火が付く。国会周辺は連日デモ隊で埋まった。警官隊との衝突で女子学生がシ亡し、米大統領の初来日も流れた。国中を覆った騒然たる空気。小学校の教室でも「アンポハンタイ」の声が上がったのをうっすら覚えている
敗戦から15年。もう戦争はいやだ、アメリカにすり寄るな―。人々を動かしたのは理屈ではなく心情だった。「占領された側の鬱屈(うっくつ)した全国民的なナショナリズムがあそこで爆発した」。中曽根康弘元首相の見立てである
60年安保では顧みられず、基地を一方的に押し付けられてきた沖縄。「最低でも県外」という移設の約束で、心情のふたが開いたようだ。復帰38年にして「不公平で、差別に近い」という知事の発言は重い。あふれ出そうな県民の思いに、どうこたえる。
天風録 中国新聞 2010年5月20日
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