1339年前のきょう「初めて時を打つ」と日本書紀は記す。それまでは季節や昼夜をもとに「時」を大まかにとらえていたのだろう。文明の歩みとともに細かく刻むようになる。漏刻のひと目盛りは、ほぼ3時間だったようだ
この故事にちなんで6月10日を「時の記念日」としたのは1920年。第1次世界大戦中の好景気から一転、株価が暴落し銀行が破綻(はたん)するなど戦後恐慌に陥ったころである。政府の後押しを受けた団体が「時間を大切にし暮らしの無駄を省こう」と呼びかけた
「時は金なり」の勧めである。時を刻む幅は、その後もますます細かくなる。めまぐるしく変わる株式や為替の相場は、今や秒刻みだ。交通機関も1分、1秒をと時間短縮を競う
先のバンクーバー五輪では、手に汗握り100分の1秒の争いをテレビ観戦した。そんな勝負はスリル満点だが、時に追われ、時に縛られる身。たまには、おおらかに時を告げる漏刻の時代に帰ってみたい。
天風録 中国新聞 2010年6月10日
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