2010年07月31日

幽霊「父と暮せば」江戸の昔から怪談は夏の風物詩・・・ 天風録 八葉蓮華

 「講釈師、冬は義士、夏はお化けで飯を食い」。江戸の昔から怪談は風物詩だったようだ。お岩さんが「うらめしや〜」と出てくる歌舞伎「東海道四谷怪談」の初演が185年前のきょうに当たる

 浪人の夫に父をコロされ、揚げ句に毒薬を飲まされて醜い顔に変わり果てたお岩。もだえシんだ後、怨霊(おんりょう)となって夫たちをのろいコロしていく…。おなじみのストーリーながら、あらためて人間の業の深さを思い知らされる

 芝居や話だけでなく、幽霊を描いた絵も多く残る。安芸高田市八千代町の善教寺に女性の幽霊図が伝わっている。白装束に腰まで髪を垂らし、まなざしをつり上げた鬼気迫る形相。両の手はだらりと。写真で見るだけでも鳥肌が立ちそうだ

 とはいえ冥界(めいかい)に旅立った人がこの世に残した思いは、恨めしさや憎しみばかりではなかろう。井上ひさしさんの戯曲「父と暮せば」には、原爆で亡くなった父親の幽霊が登場。生き残ったことに負い目を感じる娘を励ます

 「幽霊は意見が変わることはない」と言ったのは評論家の加藤周一さんだ。暗サツされた源実朝や戦シした友人ら今は亡き「幽霊」との対話を通じて今を問うた。戦争反対の生涯を貫いた加藤さんならではの姿勢だろう。幽霊の効用を暑さ払いだけにしておくのは、もったいない。

 天風録 中国新聞 2010年7月26日
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2010年07月30日

しばらく静かに「次の一手」彼を攻めるに、我を顧みよ・・・ 天風録 八葉蓮華

 この夏、囲碁ファンの熱い視線を浴びるのが、小社などが主催する第35期碁聖戦だ。5連覇で史上3人目の「名誉碁聖」を目指す張栩(ちょうう)碁聖に、医師から棋士に転じた坂井秀至(ひでゆき)七段が初めて挑んでいる。話題性もたっぷりだ

 第3局までは張の2勝1敗。8月の第4局は坂井のホーム、関西棋院で行われる。過去の対局はほぼ互角。坂井が逆転して新しい碁聖の座に就けば、経歴も相まって棋界のスター誕生となろう。タイトルの行方は予断を許さない

 刻一刻の情勢といえば、こちらの「局」も先が読めない。参院選で大敗した菅直人首相は、臨時国会で野党の攻勢をかわしきれるのか。その一方で、息を潜めて首相が身構えるのが、民主党の小沢一郎前幹事長の「次の一手」だ

 碁の打ち手としても知られる小沢氏。「局」を読む力業で、政界での存在感を保ってきたといえる。「しばらく静かに」との首相のご託宣に従い、音無しの構えで9月の党代表選を迎えるとも思えない

 とはいえ、党内政局が景気対策などの重要課題を行き詰まらせるようでは困る。首相が消費税発言で「ねじれ国会」を招けば、小沢氏も政治とカネの問題にけりをつけないままだ。彼を攻めるに、我を顧みよ―。碁の心構えを説く中国の格言がある。政治もまたしかりだろう。

 天風録 中国新聞 2010年7月25日
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2010年07月29日

堂々のファン投票1位「マエケン」カープ投手陣の中で、まさに孤軍奮闘・・・ 天風録 八葉蓮華

 ぎりぎりまで引き絞った弓から矢を放つ。細身の体をしならせながらの投球には、そんなイメージがある。直球を投げ込むときの指先の感覚を開幕直後につかんだという。力を抜いて腕を振り、ボールを放す瞬間にだけ力を入れる。ぐんと球威が増した

 マエケンことわれらがカープの前田健太投手である。矢のようなストレートが、昨夜のオールスター戦でもさえ渡った。あこがれの舞台に堂々のファン投票1位で出場。そこで期待通り、打者6人をノーヒットに抑えてしまう。やはり並の22歳ではない

 いつも通り両腕をブラブラさせる「マエケン体操」。あれで要らぬ力が抜けるのだろう。ゆったりしたフォームからテンポよく繰り出す速球が打者をつまらせた。満ちたりた笑顔も華やかな球宴にぴったり。欲を言えばあと1回投げさせたかった

 故障者続きのカープ投手陣の中で、まさに孤軍奮闘。味方の援護が1点どまりで敗れた試合の後、「1―0で勝てる投手になりたい」とコメントした。この負けん気が、セ・リーグ前半戦で投手成績の三冠をもたらしたに違いない

 35年前の球宴を思い出す。山本浩二、衣笠祥雄両選手が連続アーチを架け、その勢いでカープが初優勝を果たした。マエケンに続く二の矢、三の矢よ出てこい。

 天風録 中国新聞 2010年7月24日
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2010年07月28日

元工作員との対面「絶対生きている」との言葉に希望をつなげたい・・・ 天風録 八葉蓮華

 一度見ると忘れ難い写真だ。音戸瀬戸を背に、笑顔の少女が躍り上がるように立つ。両手は弟たちとしっかり結ばれている。小学生のころ広島市で暮らした横田めぐみさん。36年前の家族旅行の一こまだ

 転勤族で何度も引っ越した横田家。「広島時代が一番幸せだった」と父の滋さんは振り返っている。家族の中心にいためぐみさん。動物好きで、太陽のように周りを明るくしたという。写真から3年後、新潟の地で人生が暗転する

 片や元外交官を父に持ち、北朝鮮で恵まれた日々を送っていたのが金賢姫(キムヒョンヒ)元工作員だ。大学で語学力を見込まれ、国家のテロ工作に駆り出された。めぐみさんより2歳上。運命の糸が交わるように、本来なら接点がないはずの2人が26年前に出会った

 拉致被ガイ者とテロ事件実行犯。北朝鮮という国家によって翻弄(ほんろう)されたことには違いなかろう。母の早紀江さんは元工作員との対面で「懐かしさを感じた」と明かした。まな娘の境遇と、目の前の女性の数奇な半生を重ね合わせたのかもしれない

 たくさん猫を飼い、周りを楽しませた。元工作員が伝えためぐみさんの暮らしぶりは、少女のころの面影をとどめる。「絶対生きている」との言葉に希望をつなげたい。運命の糸が解きほぐされる日はいつか。

 天風録 中国新聞 2010年7月23日
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2010年07月27日

大暑、無理せず、水分や塩分を補給して休憩し、涼しい服装で・・・ 天風録 八葉蓮華

 草を枕とした漂泊の俳人に、夏の日差しはひときわこたえたに違いない。「暑さきはまる土に喰(く)ひいるわが影ぞ」。種田山頭火の句にある。今ならアスファルトにあぶり出されるわが影ぞ、とでもなろうか

 17日に梅雨が明けた途端、連日の猛暑に見舞われている日本列島。きのうは群馬県館林市でついに38・9度と、今年一番の記録を塗り替えた。人の体温でもこれほど上がれば、寝込んでしまう「高熱」である

 冷夏だった昨年を上回るペースで増えているのが熱中症だ。広島市消防局に問い合わせると、梅雨明けからおとといまでの4日間に、21人が救急車で運ばれたという。9人は屋内にいて具合が悪くなったというから侮れない

 体温がどんどん上昇し、体の水分や塩分が失われ、シに至るケースもある。多い年には全国で600人近くが亡くなっている。無理せず、水分や塩分を補給して休憩し、涼しい服装で体調管理を、との専門家のアドバイスを日ごろから心掛けたい

 江戸時代、突然倒れるので「霍乱(かくらん)」などと呼ばれていた。怖さは知られていたようだ。暑気あたりしないよう夏の土用にはうなぎ、しじみ、京都にはあんころもちを食べる風習があると聞く。まずは「精を付ける」のが乗り切るこつかもしれない。あすは大暑。

 天風録 中国新聞 2010年7月22日
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2010年07月25日

海の藻からバイオ燃料を作る技術の開発「藻刈り」が形を変えて・・・ 天風録 八葉蓮華

 「藻刈り」は夏の季語である。浅海に茂った藻を舟から刈り取り、肥料にした時代があった。暑い盛りの重労働だが、畑に入れるとサツマイモの味がぐんと良くなる。因島の重井地区では特に重宝し、戦後間もなくまで農家に藻刈り舟があったほどだ

 女性も舟に泊まり込んで藻を刈った。民俗研究家の神田三亀男さんが聞き取りを著書「女人天耕」に収めている。舟いっぱいになるまで1週間はかかる。その間に真っ黒く日焼けし、手にはまめができたという。「舟溜藻刈りの舟も来て憩ふ」(能村登四郎)。つらい作業ゆえの深い安息感が漂う

 この半世紀で、瀬戸内海の藻場の多くは埋め立てられた。手間をかけて藻を使う農家もほぼ絶えた。残された藻場ではこの時季、深緑色のアマモが1メートル余りに伸びている。やがて枯れ、多くは切れて流れる

 夏の季語通りの営みが今も続くのは、広島県中部の三津湾付近である。竹原市忠海で石風呂を営む稲村喬司さん(68)が、今年も近く舟を出す。竹ざお2本をアマモにからませ、ねじるように刈る昔ながらのやり方だ

 一方で、海の藻からバイオ燃料を作る技術の開発も進む。「藻刈り」が形を変えて復権する日は来るのか。アマモを敷き詰めた石風呂で、海の香りに包まれながら夢想してみる。

 天風録 中国新聞 2010年7月20日
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2010年07月24日

ほとんど見かけなくなった「二千円札」日本人の肌に合わないのかもしれない・・・ 天風録 八葉蓮華

 最近、ほとんど見かけなくなったものに二千円札がある。沖縄のシンボル守礼門と源氏物語絵巻をデザイン。2000年のミレニアムと沖縄サミットを記念して、10年前のきょうデビューした

 これまでに8億8千万枚を発行。今も流通しているのは沖縄を中心に1億1千万枚にとどまる。残りは日銀の金庫で眠っているという。6年前からは印刷もされていない。たんすの奥にしまい込んでいる人もおられよう

 使い勝手が悪いこともあるようだ。利用できない自動販売機が多い。五千円札と間違えたという笑えない話も聞いた。20ドルや20ポンド、200フランなど外国では広く使われる「2」の付く札。「1」と「5」になじんできた日本人の肌に合わないのかもしれない

 二千円札発行が始まった時の首相は森喜朗氏。失言が相次いで支持率を下げ、1けたまで落ち込んだ。就任1年で辞任した森氏を含めて6人の首相が交代。とりわけ小泉純一郎氏が退陣してからは、入れ代わり立ち代わりが激しい

 「42年ぶりの新しい額面の紙幣」。当初のふれこみと裏腹に二千円札が消えゆく日も遠くなさそうだ。こちらも「16年ぶりの政権交代」という鳴り物入りで登場した民主党政権。2人目となる菅直人首相にすれば、二千円札の二の舞いはごめんだろう。

 天風録 中国新聞 2010年7月19日
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2010年07月23日

「ゲリラ豪雨」雷雨が起きやすい状態は続くという。まだまだ気は抜けない・・・ 天風録 八葉蓮華

 「屋根の上より、おけにてうつすがごとく」。今から214年前の寛政8年7月、現在の広島県安芸太田町一帯が集中豪雨に見舞われた。そのすさまじさを、手に取るように地元の古文書が伝えている

 潰(つえ)と呼ばれた土石流や洪水に、太田川沿いのあちこちの集落がのみ込まれた。近郷も含めた犠牲者は60人以上に及んだという。古文書に記された降り方から専門家が推定したところ、1時間50ミリを超える激しさだったようだ

 おととい多くの土石流を発生させた庄原市の豪雨も、それに勝るとも劣るまい。夕方のわずか3時間に集中。観測史上最大の時間雨量64ミリを記録した。日中は晴れ間がのぞいていたと聞く。同じ市内で全く降っていない地域もあった。典型的なゲリラ豪雨だろう

 救助された住民が語っている。「夕飯を作っていたら雷が鳴り、大雨が降り始めた。気付かないうちに家の中に水が…」。記録的な豪雨には雷がつきもの。お天気博士の倉嶋厚さんによれば「梅雨どきは一鳴り50ミリ」という予報官の言い伝えもあるそうだ。今回も例外ではなかった

 きのう、中国地方はようやく梅雨が明けた。といっても太平洋高気圧の縁に沿って暖かく湿った空気が入り、所によって雷雨が起きやすい状態は続くという。まだまだ気は抜けない。

 天風録 中国新聞 2010年7月18日
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2010年07月22日

尾道と倉敷の間「福山発」の映画づくり、現地ロケもふんだんに・・・ 天風録 八葉蓮華

 「どこにある街ですか」。福山市出身の作家島田荘司さんは古里を聞かれるたび、悔しさをかみしめていたという。人口46万人余を数える中核市。尾道と倉敷の間と説明して、やっと分かった顔をされることも珍しくない

 もどかしさを吹き飛ばそうとばかり、「福山発」の映画づくりが佳境に入っている。長崎俊一監督の「少女たちの羅針盤」。市が3年前に創設した「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の初回優秀作品の映画化である

 選者の島田さんが受賞作に加えたのも「これなら映画に」との思いがあったらしい。そんな熱意が映画プロデューサーの佐倉寛二郎さんや美術監督の部谷京子さんらを動かし、全国デビューのチャンスをつかんだ

 それだけに来春公開を目指す映画は、福山での現地ロケもふんだんに。間近に城を望む新幹線ホームの撮影を手始めに今月いっぱい、早朝から深夜までカメラを回す。夕暮れの公園に、夜の商店街に、響く「カット」の声にわくわくする市民も多かろう

 映画に出演するエキストラをはじめ、官民を挙げて盛り上げる態勢も整えている。「心を揺さぶる傑作」と島田さんは太鼓判を押す。最近は「鞆のある福山」として知名度も上昇中。映画の大ヒットで街の存在感がさらに高まれば…。

 天風録 中国新聞 2010年7月17日
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2010年07月21日

起業家の卵どころか、「カネの卵」の方に飛びついてしまった・・・ 天風録 八葉蓮華

 ある日、家のガチョウが金の卵を産んだ。次の日も、次の日も1個ずつ。欲張りな飼い主は我慢できず、めんどりの腹を探ってシなせてしまう。イソップの物語は目先の利益にとらわれる浅はかさを教える

 「卵をかえす銀行」。そんな英語の会社名を持つ日本振興銀行が、金融庁の検査を妨げた疑いで捜査されている。大手の銀行なら、はなも引っかけない中小企業。その救済を6年前の設立時の旗印には掲げていたはずだ。いったい何が起きているのだろう

 おいそれと借り手が見つからない。そのうちに消費者ローンなどと結び付きを強めていったようだ。ローン会社に高利で融通し、債権回収も委ねて荒稼ぎする手口。起業家の卵どころか、「カネの卵」の方に飛びついてしまった

 借り手の家の子どもが不法労働に駆り出されていないか、学校に通っているか。アジア最ヒン国とされるバングラデシュのグラミン銀行は、独自の物差しで「金の卵」の育ちようまで見極めようとしている。ヒン困救済への貢献が認められ、ノーベル平和賞を受けた

 グラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏は言う。「社会問題を片付けるのが目的であり、目先の利益のためではない」と。二つの銀行とも、当初の志はそんなに変わらなかったはずなのに。

 天風録 中国新聞 2010年7月16日
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2010年07月19日

ブラックユーモアをまぶした作品の底流に、常に弱者の目線・・・ 天風録 八葉蓮華

 映画スターが身ごもらせた女性を、しがない大部屋俳優のもとに連れてくる。スキャンダルになっては困るので、彼女と結婚して子どもの父親になってくれ、と。映画化もされ大ヒットした芝居「蒲田行進曲」である

 あこがれの人気俳優から頼まれれば、どんな不条理なことも嫌とは言えない大部屋俳優。身勝手なスターをひきたてるため、とうとう高い階段から命がけで転がり落ちる。映画の「階段落ち」のシーンにほろっときた人も多かろう

 劇作家のつかこうへいさんは20年前の著書「娘に語る祖国」で在日韓国人であることを明かした。ペンネームが平仮名なのは漢字が読めない母のため。名前には「いつか公平」な世の中にという願いを込めたとの説もある。ブラックユーモアをまぶした作品の底流に、常に弱者の目線が感じられた

 劇中の弱者は虐げられるだけでなく、何か突き抜けたようなたくましさもあった。重いテーマを、あえて軽く、どこか希望が持てるように描いた、つかさんの分身のようにも見える

 一生かけて問い掛けてきたであろう二つの祖国。先の著書では、国境上空の機上で感じたまま「祖国とはおまえの美しさ」と幼い娘に語りかけた。「対馬海峡あたりで散骨して」という娘への遺言はいかにもつかさんらしい。

 天風録 中国新聞 2010年7月14日
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2010年07月18日

「最小不幸社会」を旗印に、いまひとつ中身はぴんとこなかった・・・ 天風録 八葉蓮華

 候補者名を記したボードに、まばらな赤いバラ。うっすら涙を浮かべていた。3年前の参院選で惨敗を喫した自民党の安倍晋三元首相である。テレビに映し出された表情は何ともうつろだった

 きのう未明、都内のホテルで記者会見した菅直人首相。与党に転じた民主党は今回、改選前を10議席も割り込んだ。かみしめるような口調で敗因を語りながら時折、視線を宙に泳がせた。元首相の姿と二重写しになってしまう

 ともに長州ゆかり。安倍氏が「美しい国」を掲げれば、菅首相は「最小不幸社会」を旗印に。目を引くキャッチフレーズだが、いまひとつ中身はぴんとこなかった。片や「年金」、片や「消費税」で足をすくわれた。「民意はわれに」と思い込んでいた辺りも似通っている

 とはいえ登板のタイミングはかなり違う。5年半に及んだ小泉政権を継ぎ、若きエースとして登場した安倍氏。一方、菅首相はわずか8カ月余で退陣した鳩山政権に代わって、急きょマウンドに上がったばかりだ

 安倍氏に倣ったのか、菅首相は早々と続投を宣言した。だが野党は手ぐすね引き、身内からも責任論がくすぶる。この9月には党代表選が待ち構えている。安倍氏が退陣したのも9月。その轍(てつ)を踏まぬロングリリーフが果たせるだろうか。

 天風録 中国新聞 2010年7月13日
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2010年07月17日

勇み足「拝啓 国民のみなさま」問題の解決を先延ばしする・・・ 天風録 八葉蓮華

 「拝啓 国民のみなさま」。参院選投票日のきのう、朝刊各紙に載った一面ぶち抜きの広告。目に留まった人も多いに違いない。「手紙」の主は民主党代表の菅直人首相である

 選挙戦での消費税増税をめぐる「勇み足」が、よほどこたえたと見える。せっかくV字回復した支持率に水を差したばかりか、内輪からも批判が相次いだ。「私の説明不足でご心配をおかけしたことを、率直にお詫(わ)びします」と謝罪の言葉を余儀なくされた

 思い起こすのは大平正芳首相が一般消費税導入を打ち出した1979年の衆院選だ。自民党は過半数割れの大敗を喫した。消費税率を5%に引き上げた橋本龍太郎首相の下で戦った98年の参院選も、減税発言の迷走で惨敗。選挙に消費税を持ち出すのは鬼門とされてきた

 攻守所を変える形で「まずスタートラインに立たせてほしい」とあえてタブーに挑んだ菅首相。今回、有権者は過半数を大きく割り込む厳しい結果を突き付けた。ジンクスがまた繰り返されたようだ

 大平元首相は、目先のやすきに走って問題の解決を先延ばしするやり方を「ツケの政治」と戒めた。菅首相もそれに倣ったのだろうが、国民の声に耳を傾ける謙虚さを忘れていなかったか。届いた「返事」の行間を、しっかり読み込んでもらいたい。

 天風録 中国新聞 2010年7月12日
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2010年07月16日

20年以上前の冷戦時代に戻ったような話・・・ 天風録 八葉蓮華

 SF作家の星新一さんが40年余り前に書いた短編「あるスパイの物語」は、対立国に潜入する男が主人公。同志に秘密書類を届ける任務中、当局に捕まってしまう。口を割らないでいたら突然、敵のボスから帰国を許される

 現実の世界で起きたロシアのスパイ団事件も不可解な結末だ。米国内で逮捕された男女10人と、ロシアで服役中の「西側の情報員」4人が交換の形で釈放された。20年以上前の冷戦時代に戻ったような話に、思わず耳を疑った

 10人は資金援助を受けながら、子連れの夫婦や「美ぼうの実業家」として米国社会で暮らしていた。連絡にあぶり出しインクを使ったり、すれ違いざまにバッグを交換したり。ハイテク全盛の時代になんとも古典的な手口が生きていた

 東西対立のさなか、日本も「スパイ天国」と呼ばれていた。東京では米中央情報局(CIA)と当時のソ連国家保安委員会(KGB)の要員が工作にしのぎを削っていたという。スパイ映画さながらの情報戦争の舞台だったのだろうか

 今回、米当局がスパイを暴くのに使った手段は盗聴や隠し撮りだったとされる。ストーカー行為などで、盗聴器を勝手に仕掛けるケースも後を絶たない昨今の日本。スパイならぬ「盗聴天国」とささやかれているかもしれない。

 天風録 中国新聞 2010年7月11日
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2010年07月15日

歴史の瞬間を日々切り取ってきた新聞、はるかな時を超えて伝えてくれる・・・ 天風録 八葉蓮華

 引っ越しや大掃除の最中、10年も20年も前の新聞が押し入れの奥から出てくることがある。手にとって眺めるうち、タイムスリップしたような感じになって、ついつい仕事もそっちのけに…。そんな経験を持つ人もおられよう

 岩国市内の民家では、幻の新聞が嫁入り道具のたんすやトランクの底に眠っていた。昭和10年代、小社が山口県内で発行していた「中国防長新聞」。記録には残っていたものの、本社や支局にも実物はなかった

 岩国のシンボル錦帯橋を題字にあしらう。1面トップは戦地に向かう兵士の話題。「怒濤(どとう)の歓呼に送られ我等(われら)が新精鋭征途へ」の大見出しが躍り、戦争に突き進んでいった時代の雰囲気が目に浮かぶようだ。「目立つ女性の大陸進出」「野犬が跋扈(ばっこ)」といった記事も

 片や、庶民の関心事や流行をさりげなく映し出しているのが広告ではないか。「胚芽(はいが)米の五百倍のビタミンB」「健康美容に」。さまざまな薬や食品、乳液などが並ぶ。健やかで美しくありたいとの願いは、いつの世も変わらないと見える

 取材した同僚によると、昭和初期の新聞は黄ばみ、ざらざらした手触りだったという。歴史の瞬間を日々切り取ってきた新聞。はるかな時を超えて伝えてくれるのも紙ならではの、ありがたさだろう。

 天風録 中国新聞 2010年7月10日
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2010年07月14日

清張ゆかりの地と知る人が最近までほとんどいなかったのは無理もあるまい・・・ 天風録 八葉蓮華

文化 Culture 八葉蓮華<創価学会 仏壇>
天風録 中国新聞 2010年7月9日

 両親の出身地が別々だと、人はどちらをより身近に感じるだろう。松本清張の場合は極端だった。父親の古里、鳥取県日南町には直筆を寄せた文学碑の除幕式をはじめ、機会あるごとに訪れたという

 母方の東広島市志和町に来たのは一度きりのようだ。親せきの人たちと言葉も交わさず「滞在は40分くらいだった」と自伝に記す。あぜ道でそれらしい姿を見かけた一人は「縁者を紹介できたのに」といまだに残念がる

 地元でさえ、ゆかりの地と知る人が最近までほとんどいなかったのは無理もあるまい。清張生誕100年の昨年、実行委員会を設けて多彩な記念行事を催した日南町とは、対照的のように見える

 広島市郷土資料館での「松本清張展」や市立中央図書館での作品展で、市内にあった生後間もない写真の撮影場所や自伝が紹介されている。志和とのつながりもやっと注目されるようになった。「これを機会に、清張文学にちなむ地域づくりを始めたい」と志和公民館長の藤岡武士さんは知恵を絞る

 志和の印象を「この村の農家は…かなり裕福にみえた」と書き残した昭和の文豪。豊かな村に文化面の財産が加われば、地元の知名度も上がろう。父方とは同じ中国地方の農村同士。清張の縁で新たな交流がはぐくまれるかもしれない。

 天風録 中国新聞 2010年7月9日
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2010年07月13日

「言葉は文明を運ぶ」地球上で暮らす幾多の民族・・・ 天風録 八葉蓮華

 英語の使い手なのに、外国からの客人との会話は日本語で通す。亡くなった文化人類学者の梅棹忠夫さんは頑固なまでに自分流を貫いた。生粋の京都人だけに、「いけず(意地悪)」かと思えばそうではない

 世界が東西に分かれ、角突き合わせていた冷戦の時代。英語を使えば一方の側にくみすることになる。戦争放棄を誓った被爆国日本の科学者こそ中立でなければ、との考えからだった。客は通訳同伴で訪ねてくるようになったという

 半世紀余り前の論文「文明の生態史観序説」で世に出る。西欧と日本という大陸の辺境部で文明が発展したが、「文化に上下の差はない」が持論。「進化の道はいくつもある」とその多様性にも注目した

 シルクロードの砂漠やモンゴルの草原を歩く現場の発想から紡いだ世界観だろう。初代館長を務めた大阪の国立民族学博物館では、独特の展示スタイルを編み出した。地球上で暮らす幾多の民族の資料が同じ平面に並ぶ。その壮観ぶりは、今もけた外れである

 「言葉は文明を運ぶ」と述べたこともある。漢字が壁となって外国人に学びにくい日本語と日本の行く先を気にかけていた。座談では「しやはる」「どうやいな」を連発し、論文は平仮名が多く読みやすい。「はんなり」という京言葉が浮かんでくる。

 天風録 中国新聞 2010年7月8日
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2010年07月11日

「ゆるキャラ」愛する郷土の延長に国がある。その未来を託す1票を・・・ 天風録 八葉蓮華

 真っ正面からではない。ゆったり、ゆるゆるという感じで、郷土のイベントなどをPRする着ぐるみのキャラクターたち。「ゆるキャラ」と名付けてブームに火を付けたのが、イラストレーターみうらじゅんさんである

 広島生まれのキャラに一目ぼれした。胴体はカキ、頭にはモミジを載せ、広げた手は広島の「ひ」を表す。今から10年前、国民文化祭にお目見えしたブンカッキーだ。「妙な何とも言葉にしがたい」衝撃を受けた。それが、全国各地のゆるキャラを紹介するきっかけになったという

 「体があのビロビロのカキ。このセンスは東京では決して生まれてこない」。少々くすぐったい気がするが、そこはかとなく漂う郷土愛。だからこそ笑みを誘うのだろう。各地に続々と生まれたライバルがみな癒やし系なのもうなずける

 この元祖ゆるキャラが、同輩たち29体を従えて写真に納まった。市や町のイベント生まれのほか、明るい選挙推進協会の「めいすいくん」も。JR広島駅や福山駅に設けた看板の中から参院選の投票を呼びかける

 からめ手から若者の関心を高めようという選管の策という。愛する郷土の延長に国がある。その未来を託す1票を、キミはちゃんと使える? いちずな目でゆるキャラたちが見つめている。

 天風録 中国新聞 2010年7月6日
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2010年07月10日

朝とれたばかりの銀色の小イワシが店頭に並んでいる・・・ 天風録 八葉蓮華

 「小さな魚はとりたてに限る」。陶芸家で料理に通じた北大路魯山人の弁を、117万都市で実感できるのはかなり幸せなことではなかろうか。広島湾で朝とれたばかりの銀色の小イワシが店頭に並んでいる

 今が旬。百円玉3枚もあれば十分というお買い得感がまずうれしい。「七度洗えばタイの味」と言われる刺し身。よく冷やし、ショウガじょうゆに絡めればタイ以上ではないか。天ぷらの揚げたても絶品だし、煮ても焼いてもよし。新鮮さゆえの美味だろう

 調理に包丁は無用。手慣れると、ひものような内臓が最後まできれいに引っ張り出せる。刺し身にする際は、ヘラなどで身をはがす。誰が考えたのか、荷造り用のプラスチック製バンドでおろす早業も広まっている。広島発の知恵かもしれない

 小イワシはカタクチイワシの成魚。チリメンやイリコでおなじみの稚魚は、毎年わくように育つ。それを追ってクジラが瀬戸内海に入り込み、しまなみ海道の周辺に3週間近くとどまったことも。多くの生き物を養う海のコメのような存在でもある

 旬の食べ物の三大長所は、うまい、安い、栄養価が高い―とされる。それに加え、今の時季の小イワシには、一手間をかける楽しみもある。さて今夜、とりたてをどんな一品に仕上げるか。

 天風録 中国新聞 2010年7月5日
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2010年07月09日

広島の地で始まった「第二の人生」ドームを望む遊覧船・・・ 天風録 八葉蓮華

 アーチ型の窓越しに、石積みの護岸が映える。見慣れた風景なのに、欧州の古い町にいるような。不思議な感覚にとらわれた。今月から、広島市の平和記念公園に近い元安川に就航したばかりの遊覧船に乗ってみた

 それもそのはずだ。全長14メートルのゴンドラ風の外観に、木をふんだんに使った家具調の船内。先月まで18年間、長崎県佐世保市のリゾート施設「ハウステンボス」で運河を巡っていた1隻を譲り受けたという。原爆ドーム周辺の景観にもマッチしている

 広島の地で始まった「第二の人生」。毎日10回、ドームを望む1キロの航路を行き来する。人が歩くほどのゆっくりした船脚。車では見過ごしてしまうに違いない「水の都」の魅力も存分に味わえるというものだ

 「移籍組」といえば大先輩がいる。広島電鉄の電車だ。かつてドイツのハノーバーや京都、神戸など6都市を走っていた車両が、今も現役で活躍している。大阪から来て45年間走り続ける電車も。こうなると第二の人生の方がはるかに長かろう

 船に乗って、チーク材の床に気持ちが落ち着いたという声を聞いた。懐かしい木張りの電車にも通じるぬくもり。「内外装は変えずに長く活用したい」と運航会社はいう。広島の川で、もう一花も二花も咲かせてもらえれば…。

 天風録 中国新聞 2010年7月4日
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