庭の片隅にも、ブルーのアジサイが咲き誇る。「紫陽花や溜(た)めてはこぼす雨の音 蒼〓(そうきゅう)」。ラテン語の学名は「水の器」の意味という。水をいっぱい吸って生き生きと輝くからだろうか。たった1日水をやらなかったために、鉢植えを枯らしたことも
先日、広島市植物公園の展示で野生種のヤマアジサイに出合った。富士山の近くには、純白の八重咲きの「富士の滝」。高知県には水色の風車のような「土佐涼風」。気候や風土を敏感に映す、いかにもこの花らしい
広島市内にも自生している種がある。安佐北区の荒谷山のヤマアジサイは小ぶりで、花びらのように見えるピンクの装飾花も控えめ。街角でよくお目に掛かる派手な西洋アジサイとは違い、楚々(そそ)とした味わいがある
「西洋」の名が付いたアジサイも、実は日本原産だ。明治の初めに英国の園芸家が持ち帰った。欧州の人たちはエキゾチックな東洋の花を競って品種改良したとされる。逆輸入され、日本に戻ってきた。梅雨を彩ってくれる小さな親善使節が、何ともいとおしい。
天風録 中国新聞 2010年6月15日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録