計画の倍近い8年がかりの旅はトラブル続き。何度も燃料が漏れ、頼みのエンジンは四つのうち三つが不調になった。一度は迷子になりかけたこともある。そのたびに管制室から届く、綱渡りのような注文に応えてきた。今もバッテリー切れ寸前なのだという
けなげな「親孝行ぶり」に心を寄せる人が少なくない。宇宙航空研究開発機構の応援サイトには千通を超すメールが届いている。「胸が躍ったり涙ぐんだり」「はやぶさ君に何度元気づけられたことか」「こんなに人間味あふれるメカはない」
メッセージの中には「あきらめない」強さを教わったとの声も目立つ。経済のパワーが落ちて給料は上がらない。就職さえおぼつかない若者もいる。はるか上空で繰り広げられるハラハラ、ドキドキのドラマ。自分の生きざまと重なるのかもしれない
小惑星から運んできたお土産カプセルが地球に向かうのを見届け、はやぶさは燃え尽きる。大海から古里の川に戻り、産卵に命を振り絞るサケのように。いちずな、その使命感に胸がキュンとなる。
天風録 中国新聞 2010年6月13日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録