2010年05月25日

「不公平で、差別に近い」人々を動かしたのは理屈ではなく心情だった・・・ 天風録 八葉蓮華

 「あの流儀でやれば徴兵制度の復活であろうが、戦争さえもが強行決議されるのだ」。50年前、作家の野上弥生子が雑誌に書いている。そんな思いの広がりが「60年安保闘争」の底流にあったのだろう

 あの流儀とは、岸信介首相による新日米安保条約の強行採決を指す。5月19日の深夜、衆院での質疑を打ち切り、警官隊を院内に導入。議長室前に座り込む野党議員らをごぼう抜きし、半世紀前のきょう午前0時すぎに可決した

 これを境に「安保反対」に火が付く。国会周辺は連日デモ隊で埋まった。警官隊との衝突で女子学生がシ亡し、米大統領の初来日も流れた。国中を覆った騒然たる空気。小学校の教室でも「アンポハンタイ」の声が上がったのをうっすら覚えている

 敗戦から15年。もう戦争はいやだ、アメリカにすり寄るな―。人々を動かしたのは理屈ではなく心情だった。「占領された側の鬱屈(うっくつ)した全国民的なナショナリズムがあそこで爆発した」。中曽根康弘元首相の見立てである

 60年安保では顧みられず、基地を一方的に押し付けられてきた沖縄。「最低でも県外」という移設の約束で、心情のふたが開いたようだ。復帰38年にして「不公平で、差別に近い」という知事の発言は重い。あふれ出そうな県民の思いに、どうこたえる。

 天風録 中国新聞 2010年5月20日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:46| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。