2010年05月16日

音もなく迫る車体「存在音」街になじむ日がいつかは来る・・・ 天風録 八葉蓮華

 たどたどしかったウグイスの鳴き方が様になってきた。ピールリとよく通る声は、南国から渡ってきたオオルリだ。恋の季節を迎えた新緑の林間。心地よい鳥たちのさえずりは求愛の営みである

 人間にとっても音は一種のサインだろう。それで何かのスイッチが入ることもある。雷鳴がとどろけば身が縮む思いがし、野外なら隠れ場所を探してしまう。授乳期の母親は、赤ちゃんの泣き声がすれば寝床でも反射的に目が覚めるという

 車のエンジン音の場合はどうだろう。うなる回転音に胸躍らせるドライバーもいれば、騒音にしか聞こえない人もいよう。それともう一つ、クラクションなしで車の接近を教える合図でもある

 その「存在音」がにわかに注目されている。低速時はモーターで動くハイブリッド車が増え、電気自動車も普及が進む。音もなく迫る車体に驚いた人もいるだろう。とりわけ、目の不自由な人は耳だけが頼り。恐怖の体験に違いない

 ならばと、低速で走る時の人工音を自動車メーカー3社が開発した。ホワンホワンとかキーンとかの電子音である。聞き取りやすさを追い求めたそうだが、まだたどたどしい響きだ。横断歩道の青信号を知らせるカッコーやヒヨドリのように、街になじむ日がいつかは来るのだろうか。

 天風録 中国新聞 2010年5月12日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:42| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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