掘り出すとなると意外に難しい。先がちょっとのぞいたぐらいが旬という。地中に埋まる部分を傷つけないよう、慎重にクワを打ち込む。力任せでは、せっかくの季節の贈り物を傷つけてしまいかねない
旬を逃せば、あっという間に大きくなる。若竹の育つ速さは目を見張るほどだ。中国に「胸中に成竹あり」との故事成語がある。北宋の時代、墨竹画を得意とした画家の文同は、節や葉の成長ぶりを日ごろからよく観察していた。筆を執る前に成竹の姿を思い浮かべ、一気に描き上げたという
これが転じ、先を読み、念入りに準備して物事に臨むとの意味である。さて普天間基地の問題で、鳩山由紀夫首相は「成竹」を胸中に描いていたのだろうか。腹案といっても、まだ節も葉の位置も見定められないような姿ではないか
政府はきょうにも、移設の原案を確認する。今月末の期限を前に、動き始めた首相。そのたびに、沖縄でも徳之島でも、住民の心中に埋もれていた不信感や怒りの数々がにょきにょきと大きくなる。解決の旬はいつになったら訪れるのか。
天風録 中国新聞 2010年5月10日
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