2010年05月13日

母の日「いっぱいごめん いっぱいありがと」母の字に託したありのままの思い・・・ 天風録 八葉蓮華

「母という字を書いてごらんなさい」。サトウハチローさんの詩集に、こんな一編がある。「やさしいように見えて むずかしい字です/恰好(かっこう)のとれない字です」。なるほど簡単そうでも、なかなか落ち着かない

 同じ人の手で書いても、これほど形が違ってくるものか。広島県安芸太田町に住む陶芸家岡上多寿子さん(60)の自筆の詩画集「いっぱいごめん いっぱいありがと」(木耳社)。ページをめくりながら気付かされた

 認知症の母文枝さんを自宅で介護した10年間の日々。絵日記風につづる。ごみ箱からおむつを引っ張り出した「母」。輪郭は角張ってとげとげしい。症状が進んできても「あんたぁ食べたか」と気遣ってくれた「母」は柔らかだ

 本当につらかったのは下の世話や徘徊(はいかい)ではない。そんな母を認められず、しかりつけたり手まで上げたりした悔いや情けなさ…。母の字に託したありのままの思いが、介護のただ中にある人をはじめ幅広く共感を呼ぶのだろう。初版から4年、6刷りを重ねている

 ハチローさんの詩はこう続く。「やせすぎたり 太りすぎたり ゆがんだり/泣きくずれたり…笑ってしまったり」。不格好にも見える形は、母を思う子の心情にほかなるまい。きょうは母の日。どんな字が書けるだろうか。

 天風録 中国新聞 2010年5月9日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:39| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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