2010年04月22日

「未来心の丘」丘の上はいつも子どもたちの歓声が絶えない・・・ 天風録 八葉蓮華

 掘り出す時、ねずみ色に見えた石は、太陽の光の中でまばゆいほどの白色に変わる―。イタリアなど国内外で数々の屋外彫刻を手掛ける杭谷(くえたに)一東(いっとう)さん(68)。大理石の美しさをこう言い表す

 尾道市瀬戸田町の耕三寺の一角にある「未来心の丘」は代表作の一つだ。瀬戸内海を見渡す標高60メートルの丘に立つ巨大な彫刻群。3千トンもの大理石に圧倒される。完成から10年近くたつというのに、むしろ輝きは増したように見える

 「あの丘には、娘へのせめてもの罪滅ぼしも込めています」。後日、福山市の個展会場で聞いた話が胸に染みた。妻と一人娘を日本に置いたまま、13年間のイタリア生活。仕事にかまけて子どもを構ってやれなかった父親の一人として、気持ちは痛いほど分かる

 日展連続8回入選の「勲章」を胸に、洋々たる修業のはずだった。しかし全くの鳴かず飛ばずで、お湯もない馬小屋に寝起きする暮らし。絶望の果てに出合ったミケランジェロの大理石の彫刻が、進むべき道を教えてくれた

 はるかイタリア北部のカラーラの洞窟(どうくつ)で掘り出された「未来心の丘」の大理石。そこは親の懐に抱かれているような安らぎを与えてくれる場所と聞く。丘の上はいつも子どもたちの歓声が絶えない。杭谷さんの思いが、人々を優しく包むのだろう。

 天風録 中国新聞 2010年4月17日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:22| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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