日本気象協会の開花予想では、締めの北海道・釧路が5月18日だから、およそ2カ月で駆け上がる。速度にして1日約20キロ。この桜前線と一緒の旅ができれば、とあこがれる人は多いだろう。夢のようなぜいたくを、何年も実現している人がいる
カメラマンの宮嶋康彦さん。写真集「日本列島桜旅」は四季折々の桜に焦がれた結晶だ。1月の沖縄から、5月の北海道、さらに冬桜まで45カ所を紹介。宮嶋さんは「桜恋の旅」と呼んでいる
桜前線を押し上げるかのようにきのう、日本列島を強風が吹き荒れた。春の嵐である。花に嵐、とくれば井伏鱒二さんの有名な翻訳詩が浮かんでくる。「コノサカヅキヲ受ケテクレ/ドウゾナミナミツガシテオクレ/ハナニアラシノタトエモアルゾ/『サヨナラ』ダケガ人生ダ」
卒業や異動たけなわの時期だ。高校、大学、実社会へと巣立ち、家族や古里との別れもあろう。入学や入社を彩った桜も今や、卒業シーズンと重なるようになった。「サヨナラ」はまた、出会いの始まりでもある。
天風録 中国新聞 2010年3月22日
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