同じイルカの話でも、米国からのニュースは気が重くなる。和歌山県太地町のイルカ漁をテーマにした米映画「ザ・コーヴ(入り江)」がドキュメンタリー部門でアカデミー賞を取った。群れを小さな入り江に追い込んで「虐サツ」する様子が隠し撮りで暴かれているという。海面が血で染まるシーンもある
イルカと言えば愛嬌(あいきょう)のあるしぐさが浮かぶ。水族館では芸を見せたり、船と一緒に泳いだり。動物療法では「セラピスト」として寄り添ってもくれる。それがコロされて肉片となり、スーパーに並んでいると聞けば、確かに心穏やかではない
一方で反発も感じてしまう。「知能が高いイルカを食べるなんて野蛮」と欧米の価値観をストレートに伝える映画。鯨に続いて、またバッシングが広がるのではないか、と
遺跡から出る大量の骨は、縄文の人たちの暮らしを物語る。江戸時代は各地で追い込み漁が盛んだったという。太地の漁法は、伝統を今に伝える「無形文化財」とみることもできる。考えるほどに、迷いイルカのような気分になる。
天風録 中国新聞 2010年3月10日
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