太平洋の荒波にもまれる咸臨丸と、米大統領に面会する幕府使節団。1960年に発行された「日米修好百年」記念の2枚一組だ。小中学生の間では切手収集がブーム。早速入手した同級生が切手帳を、大切そうに開いて見せてくれたのを思い出す
人物や建物を通して過去をよみがえらせるのが、歴史をテーマにした記念切手の魅力だろう。あの条約の調印から100年後は厳密には58年。その年は井伊の銅像をあしらった「日本開港百年」記念切手を出している
2年後をあえて「修好百年」としたのは、なぜだろう。ちょうど、幕末に匹敵するほど国論を二分した日米安保条約改定の年である。郵便学者の内藤陽介さんが「政府の本音は安保改定を祝うことにあった」(「反米の世界史」)と説くのもうなずける
半世紀後の今は「同盟」と言い換えられる日米関係。過去と違い国論はほぼ統一されたように見えるが、普天間移設で荒波の気配も。新条約発効の節目、6月23日には安保改定50周年の記念切手が発行される。どんな図柄になるのだろうか。
天風録 中国新聞 2010年3月9日
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