不思議なことに、ムーミンの物語には学校が出てこない。原作者の女性トーベ・ヤンソンは小学生のころから、学校が嫌いだったせいらしい。算数が苦手で、しょっちゅう遅刻していた。「いつも独りぼっちだった」と生前のインタビューで打ち明けている
皇太子家の愛子さまが今月初めから、ほとんど登校できない状態になられている、と宮内庁の発表があった。通われている学校で男児らから乱暴な振る舞いを受け、強い不安感や腹痛の症状もあるという。体からのSOSのように見えて、胸が痛む
ふと、小学生だった娘が不登校になった十数年前の光景がよみがえる。泣きわめく娘を毎朝、引きずるように連れていった。ますますひどくなる行き渋り。今にして思えば学校に「自分の居場所」がなかったのだろう。そんな心の内を分かってやれなかった苦い記憶だ
ムーミンの谷では誰もが安心していられる。目が覚める時はうれしいし、床につくのも楽しい。子どもたちにとって、そんな世の中になればと願う。
天風録 中国新聞 2010年3月7日
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