2010年03月10日

「記憶遺産」一人ひとりの心のひだに刻みつけられた記録・・・ 天風録 八葉蓮華

「記憶遺産」という耳慣れない言葉を最近知った。人類として残すべき歴史文書や芸術作品を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が選ぶ。いわば、みんなの心の中にある世界遺産だろうか。日本政府も自前の候補選びに乗りだした

 昨年夏に登録されたのが「アンネの日記」である。ナチスの弾圧により、わずか15歳で命を落としたユダヤ人の少女が書き残した。隠れ家で暮らす厳しい生活の中でも希望は捨てず、思いをつづった。「私は生きたい。生きて世界中の人のために働きたい」

 戦後になって父の手で出版され、ホロコーストの悲劇を広く知らせた日記。中学生のころに初めて読んで、胸が詰まったのを思い出す。少女の願いは違う形で実った。「遺産」になったのも、たった1人の記憶を世界中の人々が共有したからだろう

 ヒロシマにも、重い記憶が被爆者の数だけある。だが65年の歳月とともに語る人は少なくなり、街を歩いてもツメ跡に気づかない。生きているうちにあの日のことを絵や手記にして残しておきたい…。そんな営みが脈々と続いている

 記憶とは、一人ひとりの心のひだに刻みつけられた記録なのだろう。やがては忘却の波間に沈む日が来るかもしれない。それでも、人類が忘れてはならぬ記憶もある。

 天風録 中国新聞 2010年3月5日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:41| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。