遺族から市に託されたネガや紙焼きは、40万点にものぼるという。巡回展は、中区から始まった。川沿いのバラックや、にぎわいを取り戻した商店街。ほかを押しのけるようなふぞろいな看板に、時代のエネルギーを見る
終戦で大陸から戻ってみたら、焼け野原だった。ぼつぼつと復興を始めた街は、高度成長に乗ってどんどん変わっていく。そのプロセスを撮らずにはいられなかったのだろう。おかげで1950年代半ばからの街の息づかいをしのぶことができる
没後29年になる民俗学者宮本常一も、撮り残した10万点の写真によってあらためて評価されている。こちらは全国に足を延ばした。今では消えた海や山の暮らしが、永久に記録されることになった。古里の周防大島で保存され、各地で展示もされている
二人とも写真には素人。構図には凝らず、メモを残すように目にした風景を写している。一枚一枚を見ると平凡だ。しかし積み重なって一定の量となった時、時代の質感を伝えるものになるのだろう。
天風録 中国新聞 2010年2月22日
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