2010年02月27日

広島の街をくまなく回り、変わっていく様子、街の息づかい・・・ 天風録 八葉蓮華

 黒縁の眼鏡をかけた小柄なおじいちゃん。毎日のようにカメラを持って自転車で出かける姿は、町の名物だった。広島の街をくまなく回り、変わっていく様子を撮影し続けた。おととし96歳で亡くなった大段徳市さんだ

 遺族から市に託されたネガや紙焼きは、40万点にものぼるという。巡回展は、中区から始まった。川沿いのバラックや、にぎわいを取り戻した商店街。ほかを押しのけるようなふぞろいな看板に、時代のエネルギーを見る

 終戦で大陸から戻ってみたら、焼け野原だった。ぼつぼつと復興を始めた街は、高度成長に乗ってどんどん変わっていく。そのプロセスを撮らずにはいられなかったのだろう。おかげで1950年代半ばからの街の息づかいをしのぶことができる

 没後29年になる民俗学者宮本常一も、撮り残した10万点の写真によってあらためて評価されている。こちらは全国に足を延ばした。今では消えた海や山の暮らしが、永久に記録されることになった。古里の周防大島で保存され、各地で展示もされている

 二人とも写真には素人。構図には凝らず、メモを残すように目にした風景を写している。一枚一枚を見ると平凡だ。しかし積み重なって一定の量となった時、時代の質感を伝えるものになるのだろう。

 天風録 中国新聞 2010年2月22日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:38| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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