週末の居酒屋での憂さ晴らしでも、番組のクライマックスになると店内のテレビが気になった。転調したBGMに乗り、最後に主水が仕置きに向かう。庶民を苦しめた悪の権化をバッサリ。すごみのある裏の顔がたまらなかった
中高校時代に夢中になったのが「てなもんや三度笠」。「当たり前田のクラッカー」は不滅のコピーだろう。白木みのるさんとの絶妙のコンビ。沓掛(くつかけ)ならぬあんかけの時次郎の高笑いは、当時の元気な日本の勢いを映していた
「はぐれ刑事純情派」の安さんと「京都サツ人案内」の音やんはミステリー好きの中高年の心をつかむ。どちらも妻に先立たれ、男手で娘を養ってきた。優しさの陰に寂しさがふっと漂い、時におとぼけも。容疑者に厳しく迫りながら、ほろりとする一言も漏らす
あの際立った顔は、どんな役であっても「藤田まこと」だった。だが記憶に刻み込まれているのは、その名よりも演じた主役の名前の方だ。なりきっていた役者だった。
天風録 中国新聞 2010年2月19日
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