この時季ならではの、ひそやかな楽しみもある。葉を落とした木々の素顔に出合えることだ。ほうきを逆さに立てたようなケヤキ、円すい形のシルエットが美しいメタセコイア、枯れ葉を付けたままのカシワ…。常緑樹と織りなすコントラストも面白い
平和大通りに根付く樹木は、10メートルを超す高木だけで約90種の2千本。市民グループが先ごろ作ったガイドで知った。昭和30年代の「供木運動」で、国内外から提供された木も多い。平和と街の再生を願った人々の心が息づく「街中の植物園」である
したたるような新緑、真夏には木陰をつくり、やがて深紅や黄に色づいて…。四季の移ろいを肌で感じさせてくれるだけではない。平和大通りの木々は夏場に都心の気温を下げ、風の通り道にもなる。デルタを貫く「緑の回廊」だろう
ほおを刺す風は、まだ冬の冷たさだ。紅白の梅がほころべば、やがて真っ白なモクレンやコブシ、桜も。凛(りん)とした寒だからこそ、命を躍動させる春の訪れが余計に待ち遠しい。
天風録 中国新聞 2010年2月7日
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