なるほど、富士山をテーマにした代表作「冨嶽三十六景」の出版は70歳すぎ。90年の生涯に3万点余りの作品を手掛けた。大半が、老いの坂に差しかかってからのものだ。あっさり引退していれば、あの迫力ある赤富士も世に出ることはなかった
北斎が生きた江戸のころ、平均寿命は50歳に届かなかったとされる。今や、70歳以上の人は国民の6人に1人に当たる2千万人を超す。この20年間で2倍に増えた。もはや「古来まれ」とは誰も思うまい
その70歳で門前払いをしたのが自民党である。夏に迫った参院選の比例代表の候補選び。70、73、74歳の3人を公認しないと決めた。いずれも衆院選などの落選組だ。「昔の名前」が出るのでは、いかにも党再生のイメージにそぐわないと見たようだ
86歳になればますます腕が上がり90歳で奥義を窮める。北斎の文章はそう続く。一つの目標に向かって、まっしぐらにぶつかっていく。詰まるところ、その気力次第で道は開けるというのだろう。政治の世界は、いささか様子が違うのかもしれないが。
天風録 中国新聞 2010年2月1日
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