「ぼくらは緊張のほぐし役」「スリルと興奮の連続では身が持たないよ」。赤いテントを笑いで包む米国人の2人のピエロ。その場の空気を素早くつかみ、意表を突く芸で客の心を引き寄せる。落語の間の取り方と、どこか似通う。笑いの本質は東西を問わないようだ
ピエロの魅力にとりつかれ、20年近くも描き続けているのは福山市在住の洋画家、和田貢さん(82)だ。それも素顔がのぞく「幕間(まくあい)」を専門に。観客を存分に楽しませた後、ふとわれに返るひととき。じっと目を閉じたり、読書にふけったり。ステージで張りつめた心を解きほぐす
「和む心が伝わるのでしょうか。絵筆を持つこちらも楽しくなってくる」。描いたピエロは100点を下らない。6年前の日展で会員賞に輝いた「幕間」は、くつろいでウクレレを弾く表情が印象的だ
今年も残すところ40日余り。年内にあれもこれもと気はせくが、和田さんの絵を前にすると、肩の力がすーっと抜けてくる。「なるようになるさ」。ピエロのささやきが聞こえてくるような気がした。
天風録 中国新聞 2009年11月21日
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