2009年11月20日

「ただ揺られ揺られつ」フェリー業界に吹き付けている烈風・・・ 天風録 八葉蓮華

 ススキの原を渡る秋風をうたった北原白秋の詩がある。「遠きもの/まづ揺れて/つぎつぎに/目に揺れて/…風なりと思ふ間もなし」。作者もまた風に吹かれて「ただ揺られ揺られつ」するばかり

 秋風も、海原では大きな波を生むことがある。うねりと合わされば巨大な三角波に。東京から鹿児島に向かうフェリーが、熊野灘でこの波に襲われた。揺れるいとまもあらばこそ、一瞬にして傾き、ついには横倒しに

 いきなりのことで、乗客は何が起きたのか分からなかっただろう。運航会社によると、いつもなら20〜30人の乗客が、たまたまこの便は7人だけ。少なかった分、ヘリコプターでスムーズに救助されたのは幸いだった

 今のフェリー業界に吹き付けている烈風と、つい重なって見える。土日の高速料金が千円になって、客が激減している。先の区間の料金は、全長10メートルの大型トラックで約18万円。これでさらに高速が無料化されたら…

 国内貨物の4割は船が運んでいる。災害時に、物資満載のトラックを積めるのもフェリーならでは。海運業界が傾いては大変だ。「輝けど/そは遠し/尾花吹く風」と、詩は終わる。詩人の心を揺らした風がある。政治によって引き起こされ、だからこそ政治によって鎮められる風もあるはずだ。

 天風録 中国新聞 2009年11月15日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:33| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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