誰でも農閑期の仕事として紙漉きができるように、と刊行したという。それだけにさし絵は分かりやすい。原料のコウゾの皮をはぐ。煮る。たたいてつぶす。紙に漉く。乾かす…。おのおのの作業の様子が手に取るように描かれている
当時の技法をそのまま伝えている、として「石州半紙」がユネスコの無形文化遺産に登録された。小千谷縮(ちぢみ)(新潟県)などと並んで13件のうちに入った。中国地方ではただ一つ。伝統を継ぐ浜田市三隅町の4人はもとより支える人たちにとっても、励みになるうれしい便りだろう
「厚くぱりっとし、手ざわりもきわめてごつごつし、何ともいえない故郷の味」と益田出身の作家田畑修一郎が書いている。山がちの風土をも漉き込んだような趣。「豪快な線を出すには持ってこい」と愛用する書家もいるという
ユネスコ登録によって、翻訳本の読者をはるかに超える世界の人々が、この紙に目を向けるだろう。インテリアなどへの用途も広がるかもしれない。何よりも、日本の人たちが隠れた遺産を再発見する機会になればいい。
天風録 中国新聞 2009年10月7日
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