小さな町工場を、世界企業に育てた「経営の神様」。仕事のちょっとした無駄にも厳しかった。あいさつだけの得意先回りはだめ。報告のためだけの報告書はいらない。今年、相次いで出版された語録や逸話集からは、その徹底ぶりが見える
ただ単なるケチケチではなかった。「不況時こそ金を使え」がモットー。周りが「無駄では」と思っても、社会に役立つ生きた金と信じれば惜しまない。晩年、70億円もの私財を投じた松下政経塾もその一つだ。次代のリーダーを育てようと、自らも思いを伝えた
戦後の政治が水膨れさせた国の予算。無駄に切り込もうとする鳩山内閣の大臣、副大臣のうち6人が「塾生」である。前原誠司国土交通相もその一人だ。きのう乗り込んだ群馬県の八ツ場(やんば)ダム。「工事は必要」と言う住民にそっぽを向かれた
やめても続けても、巨費がかかる。どちらが無駄で、どちらが「生きた」使い道か。ここは考えどころだろう。難題に直面したら…。「誰の言うことでも一応は素直に聞く。虚心になって」。松下さんはそう言い残している。
天風録 中国新聞 2009年9月24日
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