味も侮れない。卵を割り溶いてしょうゆを垂らし、ご飯にかける。シンプルそのものなのに、濃いうまみがある。安いうえに手軽とあっては、このご時世、もてはやされないわけがあるまい。ブームといわれ、広島市でも専門店を見かける
火をつけたのは「たまごかけごはんの日」を設けた雲南市の旧吉田村だろう。毎年開くシンポは今年で5回目だ。専門の食堂が全国で初めてできたのは岡山県の美咲町。どちらも棚田の広がる米どころ
シンポの主催者によると、最近はいろいろなバリエーションがあるという。黄身だけ入れた濃厚版や、唐辛子を加えたピリ辛版…。一工夫でさらにおいしくなるところもうれしい
作家向田邦子さんがエッセーにつづっている。弟と二人で卵1個。母が分ける時、どうしても私の方に白身がジュルンと入ってしまう。あ、黄身は…。卵が貴重だった戦前のつましい暮らしを知る。田んぼに穂波が広がる秋。心ゆくまで味わえる茶わんの中の黄金色に手を合わせ、はしをとる。
天風録 中国新聞 2009年9月18日
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