意見がうまく言えなかったり、一方的に主張を押しつけたりしながらも、12人の審議は次第に白熱する。事件という人間ドラマに立ち会い、犯行の意味を自分なりに考え抜くからだ。さて、中国地方でも始まった裁判員制度。非公開の評議はどんな様子だったのだろうか
山口地裁では、介護疲れで夫が妻を刺したサツ人未遂事件に裁判員は向き合った。凶器の包丁や被害者の傷も見せられた。「私ならどうする」。自問を交え真摯(しんし)な議論が続いたのではなかろうか。話し上手でないからと筆記で意見を伝えた人もいた
保護観察付きの猶予判決は、被告や被害者の将来に重きを置いたと言えよう。「これからは生きがいを見つけて肩の力を抜いて人生を歩んでください」。裁判員の総意として裁判長が被告に語りかけた言葉が新鮮に響く
映画ラストの12人と同じく、裁判員たちは安堵(あんど)の中にも結論を導いた満足感をのぞかせた。「介護の問題は社会で支えなくては」との発言も。裁く側から事件に立ち会って、より明確になる市民意識もある。
天風録 中国新聞 2009年9月12日
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