「チューピーちゃん、おいで」。親代わりの岡野香さん(67)が声をかけると、広げた新聞紙にやってくる。首をかしげ、黒い目をしばたたき、あくびをする。かわいらしく、見ていて飽きない
スズメはイネ科の植物が大好きだ。人が耕地を広げると、わっと集まってくる。巣も木造家屋のすき間にちゃっかりと。大昔から「人里の鳥」である。その近さのゆえか、人もまたやるせない時、スズメに自らの気持ちを託してきた
「我と来て遊べや親のない雀(すずめ)」と詠んだ小林一茶。幼くして母を失い、寂しさを抱えていた人だ。「雀を思うと涙がながれます」と書いたのは北原白秋。夫婦仲のよくない親と暮らす気まずさ、その日の米にも事欠く情けなさ。慰めてくれたのは「茶色の小坊主」の無心な姿だった
スズメがこの20年で5〜8割減ったという調査が出たのは今年の初め。山里の荒れとも関係あるのだろうか。日本人の「心の友」がピンチだとすれば大変なこと。政界ではハトの動静に注目が集まっているが、自然界のスズメの行方にも無関心ではいられない。
天風録 中国新聞 2009年9月9日
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