2009年08月14日

都会育ちの子や孫「古里への誇り」帰省しても盆踊りが踊れない・・・ 天風録 八葉蓮華

 キュッ、キュ。乾いた音をたてる鳴き砂を踏みながら、踊りの輪が広がる。やぐら太鼓と肉声の口説き歌。耳を澄ませば日本海の波音が聞こえる。飾り気はないが、なんともぜいたくな四重奏だ。夜空の下で、人と自然が溶け合うような気がしてくる

 大田市仁摩町馬路(まじ)の琴ケ浜できょうから始まる盆踊り。三晩続く踊りの主役は、古里に帰ってきた人々だ。全国を渡り歩いた石見左官を生んだ地。普段はお年寄りが目立つ660人の地区だが、盆の人口は3倍になる

 先祖の霊を迎えて供養する盆。今年は実家にたどり着くのが大変、という人も多かろう。千円高速の渋滞に豪雨禍、そして地震…。東名高速道の崩落現場では、帰省の車列をさばこうと突貫工事が続く。安全最優先でと願わずにはいられない

 人間にも帰巣本能のようなものがあるのだろう。年をとればとるほど、遠く離れていればいるほど、古里へ引かれる思いは断ちがたい。ただ、そこで育っていない子や孫の代はどうなるのか

 馬路でも、盆に帰省しても踊れない若者が増えた。そこで、都会育ちの子どもに踊りを教え始めた。琴ケ浜の砂は清掃を続けないと鳴かなくなる。踊りも、同じように手を掛けて次の世代に。引き継ごうとしているのは古里への誇りである。

 天風録 中国新聞 2009年8月13日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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