2009年08月06日

裁判員裁判「平易を主とする」難しい言葉で固まった世界に風穴を開ける・・・ 天風録 八葉蓮華

 つい「応有の材料」と書いてしまって、漢語では通じないと気づく。そこで「有り合い(あり合わせ)の品」と書き換えた。こんなふうに書いては直し、書いては直した、と福沢諭吉が回想している(「福沢全集緒言」)

 周りの者に聞かせて分からない言葉ではだめ。文章の草稿は家族にも必ず一度は読ませ、引っかかる字句があれば、改めた。一万円札の顔は「難解の文字を避けて平易を主とするの一事」に徹する人でもあった

 「難解」を絵に描いたような場所がこれまでの法廷だ。難しい用語が飛び交い、当事者である被告でさえちんぷんかんぷんだったかもしれない。東京地裁で始まった初の裁判員裁判で、それががらりと変わった

 素人の裁判員にどうやったら理解してもらえるか。「平易」を競うのが、検察と弁護側のもう一つの勝負どころとなる。例えば「防御創」は「とっさに刃物を受け止めたり、払いのけようとしてできる傷」。丁寧すぎるほどの言い換え一つに、工夫が伝わる

 易しい言葉は、難しい言葉で固まった世界に風穴を開ける。諭吉の「学問のすゝめ」は、まだ封建的な気風の残る明治初年の人々の心を揺さぶり、大ベストセラーになった。これから各地で始まる裁判員裁判の法廷には、どんな風が吹くのだろう。

 天風録 中国新聞 2009年8月5日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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