先ごろ、目を疑うようなニュースが本紙広島市民版で報じられた。南区の下水処理施設で起きたメダカ泥棒だ。水質を確かめるために飼っていた約1万匹。一般公開を始めて2カ月たたないうちに、ごっそり盗まれた。残ったのは千匹にも満たないという
まだ犯人は捕まっていないが、どうやら夜陰に紛れて入り込み、一網打尽にしたようだ。全国的にもメダカの盗難は相次いでいる。ブームに乗じて、ひともうけを企てたのか。それにしても浅ましすぎる
もともと田んぼや小川にいるメダカ。市中で広く飼われるようになったのは江戸時代とされる。幕末に編まれた魚の図鑑「梅園魚譜」にも精密な写生画がある。金魚売りが一緒に売り歩いた。「金魚のべべがほしいと目高の子」(『誹風柳多留』)。安価なメダカは庶民の心を和ます友だった
それが、今や1匹が数千円で売り買いされる新種メダカも登場。一方で野生のメダカは絶滅危惧(きぐ)種に指定され、保護する動きも高まっている。「たかがメダカ」と侮ってはおれない。
天風録 中国新聞 2009年7月26日
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