2009年06月24日

「慰霊の日」書けない、語れない「無言」の向こうに・・・ 天風録 八葉蓮華

 多くの人の涙を誘った映画「あゝひめゆりの塔」。沖縄戦の看護で従軍し、自決した女学生の悲劇を描いた作品だ。だが主演した吉永小百合さんは40年たった今、その過剰な演技を悔やんでいるという

 反省を胸に、取り組んでいるのは「ウミガメと少年」という戦争童話の朗読である。「鉄の暴風」と呼ばれた米軍の艦砲射撃。その最中、海亀の産んだ卵を独りぼっちの少年がかえそうとする、ほのぼのと切ない作品だ。ひめゆりのように声高に訴えるシーンなどどこにもない

 童話の挿絵が今、三次市の三良坂平和美術館に並べられている。吉永さんの思いと共鳴し合うかのように、画面のタッチは静かで柔らかい。それが逆に、見る側の想像をかき立てる

 宮崎駿監督のアニメ映画でトトロの森を描いた男鹿和雄さんの絵である。少年の隠れ家になった海辺のガマ(洞穴)の色合いには深みがある。ガマといえば、逃げ込んだ何組もの家族が近づく米兵に観念し、自決を図った。そんな悲史も思い出す

 本土防衛の「捨て石」とされた沖縄。ウミガメの童話を書いた野坂昭如さんは心情をこう思いやる。「陰で何があったか、生き残った者は口を閉ざす」。書けない、語れない「無言」の向こうに思いをはせたい。沖縄はきょう、慰霊の日。

 天風録 中国新聞 2009年6月23日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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