周りの人たちとうまく関係がとれないために「道化」を装う男の手記の形をとる。自信がないから必しで笑顔をつくる。摩擦が怖いので頼みを断れない。周囲に合わせて「一言も本当のことを言わない子」の苦しさが、自虐的につづられる
「会のメンバーも似ている。自信がないからつい仮面をかぶってしまう」とカウンセラー。しかし多かれ少なかれ誰も仮面を着けている。読んで、鏡を見せつけられたような気がするのはそのせいだろう
新潮社によると、文庫版は累計630万部が売れている。夏目漱石「こころ」に次ぐロングセラーだ。「自分と同じ」と楽になったり、「自分はこれほどではない」とほっとしたり。あるいは「仮面を外してみようか」と勇気を得たり。さまざまな読者がいるに違いない
100年前のきょう、青森県で生まれた太宰治。数々の逆説めいた文章も残している。その中の一つに「生まれて、すみません」。いえいえ、あなたが生まれたおかげで、救われた人もたくさんいます。
天風録 中国新聞 2009年6月19日
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