2009年06月19日

「国の将来」私たちが描いたのは本当にこんな色だったのか・・・ 天風録 八葉蓮華

 イランの田舎町で教師が子どもたちを励ます。「君たちは真っ白な紙だ。これから色を塗って絵を描いていくんだ」。そんな場面で始まる小説が今春、文学界新人賞を受賞した。大阪に住むイラン人女性シリン・ネザマフィさん(29)の「白い紙」である

 イラクとの戦争中の物語だ。少年は医師を目指していたが、戦況悪化で進学の夢を断ち切ってしまう。「自分が描けるのは白い紙の半分だけだ」。立ちはだかる現実に、少年の色は塗りつぶされた

 その戦争が終わって20年余り後のイラン大統領選。人々は「国の将来」を描く投票用紙を手にしていた。ひょっとしたら、この国の色が変わるのではないか。そんな予想もあったが、ふたを開けると、現職の圧勝だった

 多くの戦死者を出し、10代と20代が国民の半数を超すという。小説の少年のような若者には「変えたい」との熱気が高まっていたようだ。自由に服が着られなかったり、核開発で国際的に孤立したりするのはもうたくさんだ、と

 「私たちが描いたのは本当にこんな色だったのか」。結果を見た多くの人が抱いた自然な気持ちだろう。開票の不正を疑うデモに数十万人が参加し、死者も出た。慌てて投票の一部を再集計すると発表した政権側。結果を白紙に戻し、再選挙という手もあろうが…。

 天風録 中国新聞 2009年6月18日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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