2009年06月17日

休日の「1000円高速」片道1600円の呉・松山フェリー・・・ 天風録 八葉蓮華

 本州と四国の間には「宇高」と並んでもう一つの国鉄連絡船があった。仁方港(呉市)と堀江港(松山市)を結び、終戦の翌年から36年間にわたって運航したという

 今の「呉・松山フェリー」は、その後継ともいえる。梅雨晴れの日、久しぶりに乗ってみた。阿賀港(呉市)から2時間足らず。堀江港に着くと、乗り場近くにひっそりとたたずむ石碑を見つけた。「仁堀航路跡」。埋もれた歴史に出合ったような気がした

 戦後、松山周辺から多くの人が呉に向かったという。高度成長の時代、対岸は造船景気にわいていた。船は就職の、進学の夢も運んでいたに違いない。合わせて60年以上の航路は今月いっぱいで姿を消す。引き金になったのは、休日の「1000円高速」である

 フロアでは子どもがはしゃいでいる。横になる人も、静かに本を広げる人も。呉に嫁いだ娘や孫を訪ねたおばあさんもいた。片道1600円の旅客運賃で行き来できる航路の生活感は、行きも帰りも同じだった

 急ぐ人、時間のある人。お金のある人、節約する人。陸、海、空路は時代と需要が変化する中で、微妙なバランスを保ってきた。そこに思い付きのような「国策」である。「来月から、あんたはどうする」。フェリーの中で交わされる会話を、政治家や官僚に聞かせたい。

 天風録 中国新聞 2009年6月16日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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