愛や夢を追い求めながら、もがき苦しむ青春の叫びが聞こえてくるようだ。子どもから大人へのはざまで揺れる年ごろ。九年前、バス乗っ取りなどの凶悪事件を相次いで起こし、十七歳が注目を浴びたことがある。一つ間違えれば、という不安が付きまとう
一方で、選んだ道と才能がうまく結びつけば、周りも驚くような飛躍を遂げる時期でもある。岡山市の高校三年、多田遼太郎さんが史上最年少で囲碁の中国本因坊に就いた。せんだっての本因坊戦三番勝負では相手を力でねじ伏せ、タイトルを獲得した
どんな形勢になってもポーカーフェースを崩さない。その冷静沈着さには観戦記者も舌を巻いた。十七歳といえば、将棋のタイトル「倉敷藤花」を持つ出雲市の女流棋士、里見香奈さんもいる。ゴルフの石川遼さん、大衆演劇の早乙女太一さんの活躍ぶりはすっかりおなじみだ
共通しているのは、技や芸を吸収する「素直さ」と、若さに似合わぬ「落ち着き」だろう。十七歳の輝きが、世の閉塞(へいそく)感を少しでも吹き飛ばしてくれれば、と願う。
天風録 中国新聞 2009年5月27日
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