南北戦争のさなかに、敵味方を超えた米国民の融合を説いたリンカーン。分裂の危機にひんした国の統一を守り抜いた。盧氏は選挙に落選したとき、名大統領の演説集に出合い、簡潔で感動的な内容に勇気づけられたという。自ら評伝を書くほどの傾倒ぶりだった
盧氏も韓国の地域対立をなくそうと、あえて「地盤」のない地域を選び、立候補を続けた。貧しい農家で生まれ、高校卒業後、司法試験に十年かけて合格。やがて弁護士から政界へ。そんな歩みも、リンカーンと二重写しになる
突然の悲報に、驚いた人も多かろう。退任後、後援者から妻らに巨額の金が渡ったとの疑惑が持ち上がった。検察に事情を聴かれ、追い詰められていたのだろうか。国民統合の夢も、道半ばでついえてしまった
一徹さを貫き、韓国に新時代を開いたことは間違いあるまい。「自分には厳しく、他人には優しく」が、座右の銘だったという。遺書には「私のせいで多くの人が受けた苦痛はとても大きい」と、つづられていた。胸の内を明かしてほしかった。
天風録 中国新聞 2009年5月25日
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