「栄華物語」が描く当時の田植えである。千年前と同じような風景が今も見られるのは、驚きといっていい。広島県北広島町の「壬生の花田植」が、ユネスコの「世界無形文化遺産」の候補に選ばれた。来年には登録の見込みだ
田の神にささげたのが始まりという。飾り立てられた牛が、代かきをする。続いてささらを持った「さんばい」の歌が始まり、田楽のはやしに合わせて早乙女が苗を植えていく。太鼓の打ち手の踊るような動きは、まさに「心地よげに誇りて」という表現そのままだ
竹を細かく割ったのが「ささら」。田植えの指揮を執るのが「さんばい」。しかし説明を聞いてもイメージしにくいだろう。それだけ花田植の世界は、多くの人にとっては遠いものになった
減反が続く中で、田といっても昔ほどのありがたみはない。都市に住んでいれば水田の風景さえ見えない。米は普通に食べられる。だからこそ、かすかな不安がある。もう一度、花田植に込められた心をみつめてみたい。今年の開催日は六月七日である。
天風録 中国新聞 2009年5月24日
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