2009年05月12日

百歳まで「放浪記」何事も手を抜いた瞬間から坂道を転げ始めます・・・ 天風録 八葉蓮華

 上京して恋に破れ、職を転々とする暮らしに疲れた。身も心もぼろぼろになって帰郷した林芙美子役の森光子さん(89)が、情感を込めて口ずさむ。「尾道はこだまの町なり 山が呼び海が答える」。演じ続ける「放浪記」がついに上演二千回に達した

 人間の弱さ、ずるさも描く。だからこそ、自らの半生も重ね合わせ舞台に立ち続けてきたという。初演から四十八年で、芙美子といえば今や森さん。二人のイメージも、こだまのように響き合う

 貧しさをばねに小説家の夢をかなえた芙美子。森さんも芸歴は長いが、なかなか主役になれなかった。演劇界の大御所、菊田一夫から一度はこう言われる。「やっぱり脇役だな。越路吹雪のようにグラマーでもないし、宮城まり子のような個性もない」

 それが負けん気に火を付けた。芸をさらに磨き、放浪記の主役に抜てきされる。「何事も手を抜いた瞬間から坂道を転げ始めます」。著書の言葉通り今も努力を欠かさない。足腰を鍛えるスクワットは毎日百五十回。一連の公演が終わると、せりふを忘れ、新鮮な気持ちで覚え直す

 演技はなお進化している。常に坂を上ろうとする気概が支えなのか。「百歳までできれば幸せ」とも。まんざら不可能とは思えない不思議な力を感じさせる人である。

 天風録 中国新聞 2009年5月11日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
posted by 蓮華 at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。