2010年10月22日

「森のくまさん」いったん味をしめたら、もう山へは戻らん・・・ 天風録 八葉蓮華

 ♪ある日森の中クマさんに出合った…。おなじみの童謡「森のくまさん」。津々浦々に広まったのはNHKが1972年「みんなのうた」で放送してからだ。優しい動物としてのイメージアップに一役買ったことだろう

 この秋、ツキノワグマとの「出合い」が後を絶たない。それもうっそうとした森の中ではない。福井県の介護施設や山形県の中学の校舎にまでクマが入り込み、看護師や校務員に襲いかかった。岩国市本郷町の民家近くでも、畑に行こうとした女性が脚をかまれる被害が出ている

 猛暑のせいもあって、今年はクマが好んで食べる山のドングリのなりが悪いという。それでも昔は見通しが良い採草地がバリアーとなって、おいそれと人里に下りてこなかった。今は荒れてやぶになり、難なく柿やクリをあさっているようだ

 「いったん味をしめたら、もう山へは戻らん」。20年余り前、西中国山地の動物取材で地元の人から聞いた言葉を思い出す。人の捨てた残飯や生ごみも里に引き寄せているとしたら、クマだけを悪者扱いできまい

 「森のくまさん」は、出合った女の子に逃げるよう忠告する。もともと森はクマのすみか。被害を防ぐ一番の対策は出くわさないことだと専門家も口をそろえる。そう考えると童謡はなかなかに奥が深い。

 天風録 中国新聞 2010年10月19日
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2010年10月03日

「かかと呼吸」から繰り出す球は、威力だけでない独特の切れ味・・・ 天風録 八葉蓮華

 トレードマークの深呼吸と、右足を高く振り上げる投球フォーム。「衆人はのどで浅く、(真理を悟った)真人はかかとで深々と呼吸する」。きのうマツダスタジアムで現役最後のマウンドに立ったカープの高橋建投手の姿に、「荘子」の一文が重なった

 40歳の昨年、迷うことなく大リーグに挑戦。日本人最年長のメジャーデビューを果たし、孔子の言う「不惑」を実証した人だ。16年間のプロ生活に区切りを付けたきのうも、ずばり速球を投げ込み、見事に日米通算1089個目の三振を奪った

 カープ入団時はドラフト4位。球威は群を抜くほどではない。シーズン2けた勝利は2001年の1度きり。打ちこまれれば「すみません」と反省し、勝つと「ありがとう」。派手なガッツポーズもない

 そんな優しさと穏やかな笑顔が慕われた建さん。08年の球宴ではファン投票で投手として史上最年長の39歳で選ばれたように、年を重ねて円熟味が加わった。成績以上の存在感は、大器晩成タイプのなせる技か

 「実は自信ある球種はないんです。でも低めに集めれば通用する」。大リーグ在籍中、淡々とインタビューに答えていた。当たり前の基本をさりげなく貫く。「かかと呼吸」から繰り出す球は、威力だけでない独特の切れ味を乗せていた。

 天風録 中国新聞 2010年9月30日
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