2010年07月19日

ブラックユーモアをまぶした作品の底流に、常に弱者の目線・・・ 天風録 八葉蓮華

 映画スターが身ごもらせた女性を、しがない大部屋俳優のもとに連れてくる。スキャンダルになっては困るので、彼女と結婚して子どもの父親になってくれ、と。映画化もされ大ヒットした芝居「蒲田行進曲」である

 あこがれの人気俳優から頼まれれば、どんな不条理なことも嫌とは言えない大部屋俳優。身勝手なスターをひきたてるため、とうとう高い階段から命がけで転がり落ちる。映画の「階段落ち」のシーンにほろっときた人も多かろう

 劇作家のつかこうへいさんは20年前の著書「娘に語る祖国」で在日韓国人であることを明かした。ペンネームが平仮名なのは漢字が読めない母のため。名前には「いつか公平」な世の中にという願いを込めたとの説もある。ブラックユーモアをまぶした作品の底流に、常に弱者の目線が感じられた

 劇中の弱者は虐げられるだけでなく、何か突き抜けたようなたくましさもあった。重いテーマを、あえて軽く、どこか希望が持てるように描いた、つかさんの分身のようにも見える

 一生かけて問い掛けてきたであろう二つの祖国。先の著書では、国境上空の機上で感じたまま「祖国とはおまえの美しさ」と幼い娘に語りかけた。「対馬海峡あたりで散骨して」という娘への遺言はいかにもつかさんらしい。

 天風録 中国新聞 2010年7月14日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:36| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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