かつて無謀と言われながら向こう岸へ突き進んだのが、大平正芳元首相である。財政再建には消費税の導入しかないと衆院選に打って出た。案の定、野党の総反撃と自民党内の猛反発という激流に足をすくわれる。途中で主張をひっこめたが、惨敗だった
党内抗争に火が付き、与党の反主流派が内閣不信任案に賛成してハプニング解散。突入した衆参同日選挙の遊説中に体調を崩して急シする。1980年6月のことだ。向こう見ずな川越えへの挑戦が心労の発端だった
発言からアー、ウーの前置きを取れば見事な文章になっていた元首相。その生涯を描いた近刊「茜(あかね)色の空」(辻井喬著)に、いつも念頭にあったという政治の3大課題が出てくる。米国との対等な外交関係、政権交代が可能な野党の存在、そして消費税導入による財政再建である
30年たって2番目だけ実現した。あとはいまだ途上にある。目先の選挙でなく、大局を見据えようとした政治家の遺志をどう受け継ぐべきだろうか。
天風録 中国新聞 2010年6月20日
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