広島に夏の訪れを告げる「とうかさん」がきょうから始まる。その年の浴衣の着始めとされる。デパートの売り場は、色とりどりの新製品で花が咲いたよう。今年もたくさんの若者たちが新調して街に繰り出すに違いない。身が軽くなれば、思わず気持ちも浮き浮きしてくる
たんすから夏服を取り出すと、ほんのりナフタリンのにおいがしたものだ。「更衣(ころもがえ)しばししらみを忘れたり」。小林一茶の句にある。まだ芽が出ずに各地を放浪していた30歳のころ。シラミに悩まされるビン乏暮らしの憂さも、少しは紛れたのだろう
元の服が裂けてしまった民主党政権にとっても、きょうが衣替えの日。代表選に続いて国会での新首相の指名、組閣と駆け足のうちにどんどん色直しが進みそうだ。だが、うまくあつらえることができたとしても、さすがに浮き立ってばかりはおれまい
この8カ月余りの間に、知らず知らず政権の内側にわいてきた数々のシラミは、一向に退治されないままだ。首相選びの熱気によって、かゆみが治まってくれるかどうか。
天風録 中国新聞 2010年6月4日
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