自然にかかわる言葉も豊かだった。例えば風。漁師たちは吹く時季や強弱、天候などで言い分けた。同じ南風でもマジ、ハエ、ヤマジなどさまざま。全国を調べた民俗学者柳田国男は、風の呼び名を900も書き連ねている
空を見上げ、風を感じ、時には虫や草木の様子を見る。「観天望気」による気象予測は、暮らしの知恵だったのだろう。やがて気圧計や温度計などを使った近代的な観測が始まる。東京気象台ができた1875年6月1日のことだ
天気予報はその後、レーダーや気象衛星、スーパーコンピューターも加わり、どんどん進化してきた。先週からは大雨や洪水などの警報、注意報が、全国の市区町村ごとに細かく分けて発表されている。警報が出ていたのに肩すかし、ということも減るかもしれない
天気予報の的中率は80%台。昔に比べると、ずいぶん当たるようになった気もする。ただ100%となるのは難しいだろう。もうすぐ梅雨入り。ハイテク情報に頼るだけでなく、季節の移ろいに心を響かす五感も磨きたい。
天風録 中国新聞 2010年6月1日
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