販売用の本とは違い、貸本向けの出版社が発行する漫画本。水木しげるさんは当時、戦記物が有名だった。迫力ある艦隊と兵士のリアルな表情で、マリアナやレイテなどの戦線をたどった覚えがある。白土三平さんの「忍者武芸帳」で戦国時代の民衆の歴史を学んだ
店内では、そばで大人たちが交わすうわさ話も耳に入る。学校や公園の遊び場とは違う世界。背伸びしていた。「まだ早い」と借りた漫画を家族に取り上げられたことも
それだけ大人向けが多かった。水木さんや白土さんを支えた貸本出版業界のリーダー、長井勝一さんは「各地の青少年健全育成条例にひっかかった」と振り返っている。既成の考えにとらわれず読み応えのある漫画を世に出したい。そんな思いがコマからはみ出したこともあったのだろう
今も活躍するベテランの多くが、貸本から育ったのは間違いあるまい。書店では最近、水木さんの作品など貸本漫画の復刻本が目を引く。手に取ると、あの店先の懐かしいにおいがする。
天風録 中国新聞 2010年5月30日
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