2010年06月04日

懐かしいにおい「ゲゲゲの女房」1960年前後の暮らし・・・ 天風録 八葉蓮華

 身の回りでの視聴率は抜群だ。佳境に入ってきた連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。1960年前後の暮らしをそのまま味わえるのが、魅力の一つだろう。松坂慶子さん演じる女主人の姿から、古里の街で通った数軒の貸本屋を思い出す

 販売用の本とは違い、貸本向けの出版社が発行する漫画本。水木しげるさんは当時、戦記物が有名だった。迫力ある艦隊と兵士のリアルな表情で、マリアナやレイテなどの戦線をたどった覚えがある。白土三平さんの「忍者武芸帳」で戦国時代の民衆の歴史を学んだ

 店内では、そばで大人たちが交わすうわさ話も耳に入る。学校や公園の遊び場とは違う世界。背伸びしていた。「まだ早い」と借りた漫画を家族に取り上げられたことも

 それだけ大人向けが多かった。水木さんや白土さんを支えた貸本出版業界のリーダー、長井勝一さんは「各地の青少年健全育成条例にひっかかった」と振り返っている。既成の考えにとらわれず読み応えのある漫画を世に出したい。そんな思いがコマからはみ出したこともあったのだろう

 今も活躍するベテランの多くが、貸本から育ったのは間違いあるまい。書店では最近、水木さんの作品など貸本漫画の復刻本が目を引く。手に取ると、あの店先の懐かしいにおいがする。

 天風録 中国新聞 2010年5月30日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:43| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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