かやぶきの屋根裏にかけた巣から毎年、決まったようにひなが1、2羽落ちてくる。鶏のささ身をやると、大きな口を開けてついばむ。2週間育てた後、迎えに来る親鳥の元に帰す。そんな「里親」を足かけ20年。見永さん方の居心地がよほどいいのだろう
これまでに育てたひなは50羽に上る。くりくりした目。見永さんの肩や腕にちょこんと乗るしぐさも愛らしい。最近は、伝え聞いた大勢の人たちが「ひと目みたい」と各地から訪ねてくるようになった
40年前に夫を失い、3人の子を育て上げた後はずっと一人暮らし。ふとむなしさを感じ、ふさぎ込むこともあった。そんな見永さんの心を慰めてくれたのがフクロウのひなたちという。「毎年、幸運を運んでくれるフクロウ(不苦労)」とも
うれしい話はまだある。外に出ている子や孫たちが電話をくれ、会話が弾むことだ。今年、都会と農山村の交流を目指す会から賞を贈られた。フクロウがはぐくんでくれた人のきずな。フクの神はきっと来年も戻ってくるに違いない。
天風録 中国新聞 2010年5月22日
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