最近は直さない田んぼが目立つ。田植え機で広い面積をこなすから、昔ながらの手作業が敬遠されるのだろう。おまけにコメ余りで価格も安い。田の真ん中にしか作付けをしない「額縁転作」も見かけるようになった
「あぜの三筋はようできる」。風通しが良く、肥料分もたっぷりのあぜ際。それを見逃す手はない、と説くことわざだ。広島の民俗に詳しい神田三亀男さんの著書に教わった。「1粒でも多く」。そんな田んぼへの愛着がみえる
しかし増え続けた転作に、あぜ際はかすみがちだ。コメ作りへの思いもなえるばかり。そんな空気が今年は、いくらか変わってくるかもしれない。新政権がコメの戸別所得補償を打ち出した。少しはやる気がわいてきたという農家もあるのではないか
ここ数年、広島県では国から割り当てられた作付けの面積を下回っている。作り手の高齢化も進んで、おいそれと増やすのは難しいという声も聞く。あぜ際に手植えは無理だとしても、せめてその心だけは忘れないでいたい。
天風録 中国新聞 2010年5月21日
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