主人公が苦労したのが、資金提供者に太陽帆走の原理を説明すること。太陽光の圧力は弱すぎて、地球上では感じられない。だが空気抵抗も重力もない宇宙空間では、休みなく力を受けて加速する。「諸君びっくりするだろうが、1日で時速3千キロにもなるんだ」
ほぼ半世紀を経て、空想は現実になろうとしている。あす朝、種子島宇宙センターから金星探査機と一緒に発射される太陽帆実証機「イカロス」。宇宙空間で14メートル四方の極薄の帆を広げ、0・2グラムの光の圧力を受けて進む手はずだ
古くからの着想をかなえるのは耐久性のある帆。携帯電話の基板に似た樹脂のフィルムを使う。製塩から生まれた化学メーカーのマナック(福山市)製の原料も採用された。天日に頼る塩づくりから発展した技術が、今度は太陽光で宇宙ヨットを動かす
きなくささも漂う現実の宇宙開発。その点、日本が先頭を走る宇宙ヨットの分野は遊び心も感じる。ちなみにクラークがつづったのは、月を目指すヨットレースのお話だった。
天風録 中国新聞 2010年5月17日
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