2010年05月12日

相互に相互を研究し啓発する、単に採決に便宜のためなら、二大政党の看板が泣く・・・ 天風録 八葉蓮華

 夏目漱石が英ロンドンに留学したのは19世紀最後の年。文学書を読みふける合間に、本場の議会政治の仕組みにも好奇心を抱いたようだ。すでに花開いていた二大政党制である

 日本は政党があっても藩閥が牛耳る時代。市民の選挙で政権が代わる流儀には驚いたに違いない。帰国後、「相互に相互を研究し啓発する」と、ライバル同士が競い合う効用を論じた。一方で、二大政党も「単に採決に便宜なる」制度にすぎないと見抜いていた

 それから1世紀。英総選挙は労働党が大敗し、第1党の座を奪い返した保守党も過半数に届かなかった。どちらも勝者といえない36年ぶりの「中ぶらりん議会」だ。政策が似通い、新味のないところに割って入った第三極の自民党。先行きはなかなか見えない

 揺らぐ本家本元。片や日本はやっと二大政党の時代になり、選挙で政権が代わったばかり。英国をお手本にしようとしている民主党の面々も、胸中穏やかではあるまい。政権の足元がぐらつく中で近づく参院選。こちらも第三極の足音が迫る

 二大政党制は「偶然のような必然のような歴史を有している」と100年前の漱石は書いた。参院選の結果いかんでは合従連衡も取りざたされそうだ。単に採決に便宜のためなら、二大政党の看板が泣く。

 天風録 中国新聞 2010年5月8日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:32| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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