2010年04月20日

寒の戻りで、とどまっていた春。顔を上げれば樹上はもう若葉・・・ 天風録 八葉蓮華

 ひらりはらりと桜の花びらが落ちる速さは1秒間に1メートルほど。「落花(らっか)の雪」の例えもあるように、雪片の落下速度とほぼ同じという。風があれば宙に舞う。「中空に とまらんとする 落花かな」(中村汀女)。花のいのちが惜しまれる一瞬だろう

 咲くたびに「春が来た」と感じるのは梅から桜まで。やがてフジ、ツツジの開花で「行く春」を思う―。お天気博士の倉嶋厚さんは季節の移ろいを花木に託す。寒の戻りで、とどまっていた春。花が散り始め、ようやく次の場面に移ろうとしている

 7カ月余り前、政権交代の花を咲かせた鳩山内閣はどうだろう。政治とカネの問題が幹を揺すり、樹勢は見る影もない。小鳥の枝移りよろしく、あの案この案と迷走してきた普天間移設問題。オバマ大統領に会った首相は「5月末決着」を約束してきた

 どこまで命がけで動いてきたのか、移設先のめどは全く立たない。政権のつまずきの石になりそうで、政変説もささやかれる。このまま散り果てて川面を漂い、「花筏(いかだ) 流れを変へし 石一つ」(安原久雄)では悔やまれよう

 太田川沿いの路面に散った落花の雪。顔を上げれば樹上はもう若葉だ。花に続き、実もたわわに付け、惜しまれて去る。そんなトップが育ちにくい政治の土壌が気になる。

 天風録 中国新聞 2010年4月15日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:33| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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