原爆で発行できなくなった新聞の代わりに、少年たちが自らも被爆しながらニュースを口伝えして歩く―。朗読劇「少年口伝(くでん)隊一九四五」を書き出す直前だったようだ。社の資料を送ると、電話の向こうから「良いものができそうだ」と弾んだ声が返ってきたという
戯曲「父と暮せば」と「紙屋町さくらホテル」も広島への原爆投下がテーマ。長崎や朝鮮人被爆者を取り上げた物語を練っていたと聞く。広島、長崎への思いは人一倍強かった
山形の農村に生まれ、空襲の体験はない。「同じ年代の子どもが地獄を見たとき、自分は夏祭りの練習をしていた。ものすごい負い目があった」。昨年夏、広島市での講演会で思いを打ち明けている
かねて「少年口伝隊」を広島の人に見てほしいと願っていたという。7月に地元の市民グループの手で実現する運びだ。「世の中の見えないものを見えるようにするのが、われわれの仕事。だから伝えていく責任がある」。忘れてならぬものを未来に手渡す、口伝隊としての一生を全うした。
天風録 中国新聞 2010年4月13日
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